治療歴のある進行性子宮内膜がん(子宮体がん)に対するレンビマ+キイトルーダ併用療法、無増悪生存期間と全生存期間を統計学的有意に改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2022.02.03
  • [最終更新日]2022.02.03
この記事の3つのポイント
・治療歴のある進行性子宮内膜がん患者が対象の第3相試験
レンビマキイトルーダ併用療法の有効性安全性を比較検証
・全患者における無増悪生存期間はレンビマ+キイトルーダ併用群で7.2ヶ月、
 全生存期間はレンビマ+キイトルーダ併用群で18.3ヶ月であり、
 化学療法に対して統計学的有意に改善した

2022年1月19日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてプラチナ系抗がんベースの治療歴のある進行性子宮内膜がん(子宮体がん)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ(一般名:レンバチニブ、以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のStudy 309–KEYNOTE-775試験(NCT03517449)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのVicky Makker氏らにより公表された。

Study 309–KEYNOTE-775試験は、プラチナ系抗がんベースの治療歴のある進行性子宮内膜がん患者(N=827人)に対して1日1回レンビマ20mg+3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg併用療法を実施する群(N=411人)、もしくは主治医選択の化学療法(ドキソルビシンパクリタキセルなど)を実施する群(N=416人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、プラチナ系抗がんベースの治療に抵抗性を示した進行性子宮内膜がんに対する標準治療は確立されていない。以上の背景より、治療歴のある進行性子宮内膜がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者は827人のうち、697人がミスマッチ修復機構欠損のない(pMMR)患者、130人がミスマッチ修復機能欠損を有する(dMMR)患者であった。

主要評価項目である全患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の7.2ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で3.8ヶ月と、レンビマ+キイトルーダ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを44%(HR:0.56、95%信頼区間:0.47-0.66、P<0.001)減少した。

また、ミスマッチ修復機構欠損のない(pMMR)患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の6.6ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で3.8ヶ月と、レンビマ+キイトルーダ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40%(HR:0.60、95%信頼区間:0.50-0.72、P<0.001)減少した。

もう1つの主要評価項目である全患者群における全生存期間(OS)中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の18.3ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で11.4ヶ月と、レンビマ+キイトルーダ併用群で死亡(OS)のリスクを38%(HR:0.62、95%信頼区間:0.51-0.75、P<0.001)減少した。

また、ミスマッチ修復機構欠損のない(pMMR)患者群における全生存期間(OS)中央値は、レンビマ+キイトルーダ併用群の17.4ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で12.0ヶ月とレンビマ+キイトルーダ併用群で死亡(OS)のリスクを32%(HR:0.68、95%信頼区間:0.56-0.84、P<0.001)減少した。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、レンビマ+キイトルーダ併用群の88.9%に対して主治医選択の化学療法群で72.7%を示した。

以上のStudy 309–KEYNOTE-775試験の結果よりVicky Makker氏らは「治療歴のある進行性子宮内膜がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を主治医選択の化学療法に比べて統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。

Lenvatinib plus Pembrolizumab for Advanced Endometrial Cancer(N Engl J Med. 2022 Jan 19. doi: 10.1056/NEJMoa2108330.)

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