2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者を対象に経口低分子ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)Orelabrutinib(オレラブルチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のICP-CL-00105試験の結果がPeking Union Medical College HospitalのDaobin Zhou氏らにより公表された。
ICP-CL-00105試験は、再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者(N=47人)に対して1日1回オレラブルチニブ150mg単剤を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として独立効果判定委員会(IRC)による主要奏効率(MRR)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、主治医評価による主要奏効率(MRR)等を検証した多施設共同オープンラベルシングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された患者の年齢中央値は63歳(56~68歳)。性別は男性が85.1%(N=40人)。国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)は87.2%が中リスクまたは高リスクであった。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
治療期間中央値9.2ヵ月時点における結果、主要評価項目である独立効果判定委員会(IRC)による主要奏効率(MRR)は74.5%、客観的奏効率(ORR)は87.2%、病勢コントロール率(DCR)は97.9%を示した。また、12ヵ月無増悪生存率(PFS)は88.0%、12ヵ月全生存率(OS)は92.3%であった。無増悪生存期間(PFS)中央値、全生存期間(OS)中央値はそれぞれ未到達であった。血清IgM値はベースライン時点より79.0%(IQR:−89.4~−57.2)の減少が確認された。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は、血小板減少症が27.7%、好中球減少症が14.9%、白血球減少症が10.6%、上気道感染症が14.9%、体重増加が14.9%、インフルエンザ様疾患が12.8%、発疹が10.6%であった。
以上のICP-CL-00105試験の結果よりDaobin Zhou氏らは「再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対する経口低分子ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)オレラブルチニブ単剤療法は、期待のできる抗腫瘍効果を示し、安全性は問題がありませんでした。オレラブルチニブは再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)における有望な治療選択肢となる可能性が示唆されました」と結論を述べている。
Efficacy and Safety of Orelabrutinib in Relapsed/Refractory Waldenstrom’s Macroglobulinemia Patients(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#46)