2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて未治療のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者に対する抗CD30抗体薬物複合体(ADC)であるアドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)+CHP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)の有効性、安全性を比較検証した第3相のECHELON-2試験(NCT01777152)の5年長期フォローアップ結果がMemorial Sloan Kettering Cancer ServiceのSteven M. Horwitz氏らにより公表された。
ECHELON-2試験とは、未治療のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者に対してアドセトリス+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾン(A+CHP)併用療法を実施する群、またはシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価機関の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、完全寛解率(CR)、安全性などを比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照臨床第3相試験である。
本試験の結果は下記の通りである。全患者(ITT)群における主要評価項目である5年無増悪生存率(PFS)は、A+CHP療法群の51.4%に対してCHOP療法群で43.0%と、A+CHP療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを30%(HR:0.70、95%信頼区間:0.53-0.91、P=0.0077)改善する傾向が確認された。また、年齢別では、60歳未満群における5年無増悪生存率(PFS)はA+CHP療法群の68.4%に対してCHOP療法群で52.3%(HR:0.54、95%信頼区間:0.35-0.82、P=0.0035)、60歳以上群における5年無増悪生存率(PFS)は、A+CHP療法群の34.4%に対してCHOP療法群で31.1%(HR:0.81、95%信頼区間:0.57-1.15、P=0.2394)を示した。
また、全患者(ITT)群における副次評価項目である5年全生存率(OS)は、A+CHP療法群の70.1%に対してCHOP療法群で61.0%と、A+CHP療法群で死亡(OS)のリスクを28%(HR:0.72、95%信頼区間:0.53-0.99、P=0.0424)改善する傾向が確認された。また、年齢別では、60歳未満群における5年全生存率(OS)は、A+CHP療法群の81.6%に対してCHOP療法群で74.0%(HR:0.66、95%信頼区間:0.38-1.15、P=0.1402)、60歳以上群における5年全生存率(OS)は、A+CHP療法群の56.1%に対してCHOP療法群で44.1%(HR:0.73、95%信頼区間:0.49-1.07、P=0.1054)を示した。
以上のECHELON-2試験の5年長期フォローアップ結果よりSteven M. Horwitz氏らは「未治療のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者に対する抗CD30抗体薬物複合体(ADC)アドセトリス+CHP療法は、サブグループ、ITT集団において5年長期に渡り臨床的ベネフィットのある可能性が示唆されました」と結論を述べている。
The Echelon-2 Trial: 5-Year Exploratory Subgroup Analyses of a Randomized, Double-Blind, Phase 3 Study of Brentuximab Vedotin and CHP (A+CHP) Vs CHOP in Frontline Treatment of Pts with CD30-Positive Peripheral T-Cell Lymphoma(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#135)