再発難治性急性骨髄性白血病に対するCD123標的抗体薬物複合体IMGN632+アザシチジン+ベネクレクスタ併用療法、客観的奏効率55%を示すASH2021


  • [公開日]2021.12.15
  • [最終更新日]2021.12.14
この記事の3つのポイント
・CD123陽性急性骨髄性白血病患者が対象の第1/2相試験
・IMGN632+アザシチジン+ベネクレクスタ併用療法有効性安全性を比較検証
・客観的奏効率55%を示し、うち1人で完全寛解を認めた

2021年12月11日~13日に開催された第63回米国血液学会(ASH2021)にてCD123陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するCD123標的抗体薬物複合体ADC)であるIMGN632+アザシチジン+経口BCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNaval Daver氏らにより公表された。

本試験は、CD123陽性急性骨髄性白血病(AML)患者を対象として、以下4つのコホートに振り分けた。コホート1は7日目にIMGN632 15mcg/kg+1日1回アザシチジン50mg/m2を7日間投与+1日1回ベネクレクスタ400mgを8日間投与する併用療法、コホート2は1日目にIMGN632 15mcg/kg+1日1回アザシチジン50mg/m2を7日間投与+1日1回ベネクレクスタ400mgを14日間投与する併用療法、コホート3は7日目にIMGN632 15mcg/kg+1日1回アザシチジン75mg/m2を7日間投与+1日1回ベネクレクスタ400mgを21日間投与する併用療法、コホート4はIMGN632 45mcg/kg+1日1回アザシチジン50mg/m2を7日間投与+1日1回ベネクレクスタ400mgを8日間投与する併用療法である。

本試験が開始された背景として、高齢もしくは脆弱性のある急性骨髄性白血病(AML)患者に対する治療成績はアザシチジン+ベネクレクスタ併用療法により改善されているが、依然として予後不良である。基礎試験にて、急性骨髄性白血病(AML)患者に対するCD123標的抗体薬物複合体(ADC)であるIMGN632+アザシチジン+ベネクレクスタ併用療法は、従来のダブレット療法より治療成績が上回ることが確認されている。以上の背景より、CD123陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対する本治療の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録され、安全性評価が可能であった再発難治性急性骨髄性白血病(AML)35人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は69歳。二次性急性骨髄性白血病(AML)は23%。全治療歴のある患者86%、ベネクレクスタ治療歴のある患者51%。FLT3遺伝子変異陽性32%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はインフュージョンリアクションが37%、発熱性好中球減少症が26%、低リン血症が26%、呼吸困難が26%、肺炎が20%、疲労が20%であった。なお、コホート2の1人の患者は、IMGN632投与開始1日目のインフュージョンリアクションの発症により治療を中止した。なお、血小板減少症感染症発現は、再発難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するアザシチジン+ベネクレクスタ併用療法の安全性プロファイルと一致していた。

一方の有効性は、全コホートで確認されており、有効性評価可能であった29人における客観的奏効率(ORR)は55%を示した。また、奏効の内訳として完全寛解(CR)が1人、部分的血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)が4人、血小板未回復の完全寛解(CRp)が2人、好中球未回復の完全寛解(CRi)が2人であった。

以上の第1/2相試験の結果よりNaval Daver氏らは「再発難治性急性骨髄性白血病(AML)に対するCD123標的抗体薬物複合体(ADC)IMGN632+アザシチジン+経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ併用療法は、忍容性が良好で管理可能な内容でした。現在進行中のコホートでは3剤併用療法の有効性と安全性の最も高い方法を検証しています。」と結論を述べている。

Safety and Efficacy from a Phase 1b/2 Study of IMGN632 in Combination with Azacitidine and Venetoclax for Patients with CD123-Positive Acute Myeloid Leukemia(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#372)

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