再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するナラツキシマブ エムタンシン+リツキシマブ併用療法、客観的奏効率44.7%を示すASH2021


  • [公開日]2021.12.13
  • [最終更新日]2021.12.13
この記事の3つのポイント
再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/非ホジキンB細胞リンパ腫患者が対象の第2相試験
・ナラツキシマブ エムタンシン+リツキシマブ併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で44.7%、濾胞性リンパ腫で57%を示した

2021年12月11日~13日、第63回米国血液学会(ASH2021)にて再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/非ホジキンB細胞リンパ腫患者に対する抗CD37モノクローナル抗体薬であるナラツキシマブ エムタンシン+抗CD20モノクローナル抗体薬リツキシマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02564744)の結果がBaylor Charles A. Sammons Cancer CenterのMoshe Y. Levy氏らにより公表された。

本試験は、パート1とパート2に分かれており、パート1は造血幹細胞移植非対応の前治療歴のある再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/非ホジキンB細胞リンパ腫患者に対して3週を1サイクルとしてナラツキシマブ エムタンシン0.7mg/kg+リツキシマブ375mg/m2併用療法を実施した。パート2はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者のみを対象に3週を1サイクルとしてナラツキシマブ エムタンシン0.7mg/kg+リツキシマブ375mg/m2併用療法を実施するコホートAと21日を1サイクルとしてナラツキシマブ エムタンシンを1、8、15日目に0.2もしくは0.4mg/kg+1日目にリツキシマブ375mg/m2併用療法を投与するコホートBに分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性を検証した。

本試験が開始された背景として、非ホジキンB細胞リンパ腫においてCD37は高発現している。第1相試験にて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する抗CD37モノクローナル抗体薬であるナラツキシマブ エムタンシンは安全性が良好であり、客観的奏効率(ORR)22%を示した。また、基礎試験にて、抗CD20モノクローナル抗体薬リツキシマブとの併用により非ホジキンB細胞リンパ腫へ相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/非ホジキンB細胞リンパ腫患者に対する抗CD37モノクローナル抗体薬ナラツキシマブ エムタンシン+抗CD20モノクローナル抗体薬リツキシマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された100人の患者背景は下記の通りである。がん腫の内訳は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)80人、濾胞性リンパ腫(FL)14人、マントル細胞リンパ腫(MCL)6人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)群で44.7%であり、そのうち31.6%(N=24人)が完全奏効(CR)、13.2%(N=10人)が部分奏効(PR)を示した。なお、病勢安定SD)は11.8%、病勢進行(PD)は43.4%だった。

濾胞性リンパ腫(FL)群(N=14人)における客観的奏効率(ORR)は57%(N=8人)を示し、そのうち完全奏効(CR)は5人、部分奏効(PR)は3人であり、病勢安定(SD)は3人、病勢進行(PD)は3人だった。有効性評価可能であったマントル細胞リンパ腫(MCL)群(N=4人)では、完全奏効(CR)が2人、病勢進行(PD)が2人であった。

主要評価項目である安全性は、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率として、好中球減少症が54%(N=54人)、白血球減少症が19%(N=19人)、リンパ球減少症が17%(N=17人)、血小板減少症が12%(N=12人)だった。

以上の第2相試験の結果よりMoshe Y. Levy氏らは「再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/非ホジキンB細胞リンパ腫患者に対する抗CD37モノクローナル抗体薬ナラツキシマブ エムタンシン+抗CD20モノクローナル抗体薬リツキシマブ併用療法は、良好で持続的な抗腫瘍効果を示しました。また、安全性プロファイルも良好でしたので、本疾患の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Safety and Efficacy of CD37-Targeting Naratuximab Emtansine PLUS Rituximab in Diffuse Large B-Cell Lymphoma and Other NON-Hodgkin’S B-Cell Lymphomas – a Phase 2 Study(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#529)

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