KARS G12C阻害薬ルマケラスの承認了承、子宮体がんに対するキイトルーダの適応追加も厚労省薬食審医薬品第二部会にて


  • [公開日]2021.12.10
  • [最終更新日]2021.12.09

2021年12月2日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として7製品の審議を行った。そのうち4製品が抗がん剤関連であり、KARSG12C非小細胞肺がんに対する国内初承認のルマケラスや子宮体がんに対する初の免疫療法となるキイトルーダレンビマ併用療法などが含まれる。また、報告事項として2製品の了承が報告された。

報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。

審議品目

オプジーボ点滴静注20mg/100mg/120mg/240mg

一般名:ニボルマブ遺伝子組み換え)

効能・効果:原発不明がん

会社名:小野薬品工業

PD-1抗体薬であるオプジーボ免疫チェックポイント阻害薬のひとつ。PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化する。

原発不明がんは十分に検査を行っても原発巣が判明せず、転移病巣が発見されているがん。部位や組織系がことなるため、一つひとつは患者数の少ない稀ながん腫であっても、すべて合わせると固形がんの成人患者の1~5%を占める。発見時にすでに進行しているため、根治させることは困難であり、病勢進行を抑制や症状緩和が治療の目的となる。

原発不明がんに対して、現在承認されている薬剤はないため、国内・海外において初めて承認を受けた薬剤となる。

キイトルーダ点滴静注100mg

一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組み換え)

効能・効果:がん化学療法後に増悪した切除不能な子宮体がん

会社名:MSD

キイトルーダは抗PD-1抗体薬の1つ。自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける。PD-1とリガンドのPD-L1、PD-L2との相互作用を阻害することで、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化する。

子宮体がんの2020年の新規罹患者数は世界で41万7000人以上、日本国内においては1万7000人以上であり、死亡者数はそれぞれ9万7000人と3000人と推定されている。子宮体がんで9割以上と最も発生頻度の高い子宮内膜がんのうち、転移性子宮内膜がんの5年生存率は17%と予後不良である。

今回は同日に審議されたレンビマとの併用療法で用いられる。今回の併用療法が承認されると、子宮体がんに対する初めての免疫療法薬の併用となる。

レンビマカプセル4mg/10mg

一般名:レンバチニブメシル酸塩

効能・効果:がん化学療法後に増悪した切除不能な子宮体がん

会社名:エーザイ

レンビマはマルチキナーゼ阻害薬の1つ。血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1/2/3/4、血小板由来増殖因子受容体(PDGFRα)、KIT、RETなどに選択的に作用する。非臨床研究モデルにおいて、抗PD-1抗体薬との併用で、レンビマならびに抗PD-1抗体薬の単剤療法を上回る抗腫瘍活性効果を認めている。

ルマケラス錠120mg

一般名:ソトラシブ

効能・効果:がん化学療法後に増悪したKARS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん

会社名:アムジェン

KRAS G12Cは非小細胞肺がんで認められる遺伝子変異の1つであり、日本人においては非扁平上皮がんの4.5%に認められる。今回の承認により、ルマケラスはKARS G12C変異陽性の非小細胞肺がんに対する国内初の治療薬となる。

報告品目

ベバシズマブBS点滴静注100mg/400mg

一般名:ベバシズマブ(遺伝子組み換え)

効能・効果:治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん/扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん

会社名:日医工

血管内皮増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体であるアバスチンのバイオ後発品。VEGFを認識、結合することで血管新生を阻害する。VEGFはさまざまながん腫に発現し、血管内皮細胞の細胞分裂を促進させる。

ベージニオ錠50mg/100mg/150mg

一般名:アベマシクリブ

効能・効果:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法

会社名:日本イーライリリー

アベマシクリブはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬。CDK4/6はサイクリンDと結合して活性を示し、細胞周期の進行、細胞増殖を促進するといわれている。今回追加された術後薬物療法としての投与期間は24ヶ月までである。

参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)

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