2021年9月17日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて、化学放射線療法後に病勢進行していない局所進行性/切除不能非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)±抗CD73モノクローナル抗体であるoleclumab(オレクルマブ)もしくは抗NKG2A抗体であるmonalizumab(モナリズマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCOAST試験の結果が公表された。なお、同試験の結果は、9月23日〜26日にバーチャルで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2021)でも発表された。
COAST試験は、化学放射線療法後に病勢進行していない局所進行性/切除不能非小細胞肺がん患者に対してイミフィンジ単剤療法、またはイミフィンジ+oleclumab併用療法、またはイミフィンジ+monalizumab併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを検証した第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値11.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はイミフィンジ単剤群の18%に対してイミフィンジ+oleclumab併用群で30%、イミフィンジ+monalizumab併用群で36%を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)はイミフィンジ単剤群に比べてイミフィンジ+oleclumab併用群で56%減少(HR:0.44、95%信頼区間:0.26~0.75)、イミフィンジ+monalizumab併用群で35%減少(HR:0.65、95%信頼区間:0.49~0.85)を示した。10ヶ月無増悪生存率(PFS)はイミフィンジ単剤群の39.2%に対してイミフィンジ+oleclumab併用群で64.8%、イミフィンジ+monalizumab併用群で72.7%を示した。
一方の安全性として、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致していた。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイミフィンジ単剤群の39.4%に対してイミフィンジ+oleclumab併用群で40.7%、イミフィンジ+monalizumab併用群で27.9%であった。
最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は呼吸困難で、イミフィンジ単剤群で3.0%、イミフィンジ+oleclumab併用群で1.7%、イミフィンジ+monalizumab併用群で1.6%であった。
以上のCOAST試験の結果よりYale Cancer Center and Smilow Cancer HospitalのRoy S. Herbst氏は以下のようにコメントを述べている。「局所進行性/切除不能非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+抗CD73モノクローナル抗体oleclumabもしくは抗NKG2A抗体monalizumab併用療法は、イミフィンジ単剤療法に比べて顕著な改善が確認されました。これらの新しい組み合わせが患者さんの新たな治療法になる可能性を示唆しています」と結論を述べている。
Imfinzi combined with novel immunotherapies improved clinical outcomes for patients with unresectable, Stage III non-small cell lung cancer(AstraZeneca Press Releases)