9月27日、小野薬品工業株式会社はヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)について、成人では既に承認をされている「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」に対する小児への適応拡大の承認を取得したと発表した。
今回承認された用法・用量は、「小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる」とされている。
ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局、または播種性の悪性腫瘍。日本においては年間約1,720人が新規で診断され、小児では年間約70人が新規に発症していると推定されている。小児におけるホジキンリンパ腫のファーストライン治療は化学療法等が選択され、再発または治療抵抗性が認められた場合は、化学療法やブレンツキジマブ ベドチン等による治療が実施される。しかし、小児の再発または難治性のホジキンリンパ腫は予後が悪く、新たな治療選択肢が期待されている。
今回の承認は、国立がん研究センター中央病院にて実施されたPENGUIN試験の結果に基づくもの。同試験は小児期およびAYA(Adolescent and young adult、思春期・若年成人)世代のがん患者のうち、標準治療に抵抗性を示した難治性ホジキンリンパ腫患者(N=26人)を対象にオプジーボの有効性、安全性を検証した医師主導治験である。
同試験に参加した小児がん患者の平均年齢は12.4歳、内訳は11歳以下が10人(38.5%)、12歳以上17歳以下が13人(50.0%)、18歳以上が3人(11.5%)であった。これらの患者における推奨投与量は成人患者における承認時用量と同じく、3mg/kgと決定し、2週間ごとに投与された。
同試験の結果、古典的ホジキンリンパ腫の患者1人において完全奏効が得られた。なお、安全性に関してはこれまで成人で観察されたものと大きな違いはなかった。
同試験の責任者で国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長の小川千登世氏は「標準的な抗がん剤治療に抵抗性の難治性小児悪性腫瘍は、がんの種類を問わず予後が不良で、有効な治療がほとんどありません。さらに成人に比べて患者数が少ないことから臨床試験や臨床開発が極めて困難な状況です。そのため本試験のように、早期相の試験であっても、成人ではすでに承認されているがんに対して、小児においても成人同様の有効性が確認されれば、選択肢の少ない小児がん患者における非常に有望な治療選択肢となるとともに、症例数の少ない小児がんの領域において新しい臨床開発のモデルとなることが期待されます」と述べている。
オプジーボとは オプジーボは、免疫チェックポイント阻害薬のひとつであり、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化する。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。
参照元:小野薬品工業株式会社 プレスリリース 国立がん研究センター プレスリリース