ASCT適応の新規多発性骨髄腫に対するボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン+ダラザレックス併用後の維持療法としてのダラザレックス単剤療法、無増悪生存期間を延長The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2021.09.24
  • [最終更新日]2021.09.22
この記事の3つのポイント
・ASCT適応の新規多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン+ダラザレックス併用後の維持療法にダラザレックス単剤療法有効性安全性を比較検証
無増悪生存期間は未到達に対して経過観察群46.7ヶ月、ダラザレックス単剤療法群で統計学的有意に延長した

2021年9月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にて自家造血幹細胞移植(ASCT)適応のある新規多発性骨髄腫患者に対するボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン±抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス(一般名:ダラツムマブ、以下ダラザレックス)併用療法後の維持療法としてのダラザレックス単剤療法、経過観察の有効性、安全性を比較検証した第3相のCASSIOPEIA試験(NCT02541383)の結果がUniversity Hospital Hôtel-DieuのPhilippe Moreau氏らにより公表された。

CASSIOPEIA試験は、自家造血幹細胞移植適応のある新規多発性骨髄腫患者に対して自家造血幹細胞移植適応のある多発性骨髄腫患者に対するボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン+ダラザレックス(D-VTd)併用療法を実施する群(N=458人)、またはボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン(VTd)併用療法を実施する群(N=428人)に無作為に振り分け、導入療法部分奏効(PR)以上の奏効を達成した患者に対して維持療法として8週を1サイクルとしてダラザレックス16mg/kg単剤を最大2年間投与する群(N=442人)、もしくは経過観察群(N=444人)に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証したオープンラベル無作為化の第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値35.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は維持療法としてのダラザレックス単剤療法群の未到達(95%信頼区間:未到達)に対して経過観察群で46.7ヶ月(95%信頼区間:40.0ヶ月~未到達)と、ダラザレックス単剤療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを47%減少(HR:0.53、95%信頼区間:0.42~0.68、P<0.0001)した。

最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は、リンパ球減少症がダラザレックス単剤群の4%に対して経過観察群で2%、高血圧が3%に対して2%、好中球減少症が2%に対して2%をそれぞれ示した。重篤な有害事象(SAE)発症率はダラザレックス単剤群の23%に対して経過観察群で19%であった。

以上のCASSIOPEIA試験の結果よりPhilippe Moreau氏らは「自家造血幹細胞移植適応のある新規多発性骨髄腫患者に対するボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン±抗CD38モノクローナル抗体ダラザレックス併用療法後の維持療法としてのダラザレックス単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。長期間の追跡調査やその他の進行中の研究により、自家造血幹細胞移植後の維持療法の治療的戦略がさらに明らかになるでしょう」と結論を述べている。

Maintenance with daratumumab or observation following treatment with bortezomib, thalidomide, and dexamethasone with or without daratumumab and autologous stem-cell transplant in patients with newly diagnosed multiple myeloma (CASSIOPEIA): an open-label, randomised, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2021 Sep 13; S1470-2045(21)00428-9. doi:10.1016/S1470-2045(21)00428-9.)

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