2021年9月6日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のある悪性胸膜中皮腫患者に対するセカンドライン治療としての抗VEGFR-2モノクローナル抗体であるサイラムザ(一般名:ラムシルマブ、以下サイラムザ)+ゲムシタビン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のRAMES試験(NCT03560973、2016-001132-36)の結果がClinical Cancer CentreのCarmine Pinto氏らにより公表された。
RAMES試験は、ファーストライン治療としてペメトレキセド+プラチナ系抗がん剤ベース療法後に病勢進行した悪性胸膜中皮腫患者(N=161人)に対して3週を1サイクルとして1、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+プラセボを併用する群(N=81人)、もしくは3週を1サイクルとして1、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+1日目にサイラムザ10mg/kgを併用する群(N=80人)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はゲムシタビン+サイラムザ群の13.8ヶ月(70%信頼区間:12.7~14.4ヶ月)に対してゲムシタビン+プラセボ群で7.5ヶ月(70%信頼区間:6.9~8.9ヶ月)と、ゲムシタビン+サイラムザ群で死亡(OS)のリスクを29%(HR:0.71、70%信頼区間:0.59~0.85、P=0.028)減少した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はゲムシタビン+サイラムザ群の44%(N=35/80人)に対してゲムシタビン+プラセボ群で30%(N=24/81人)を示した。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は、ゲムシタビン+サイラムザ群で好中球減少症が20%(プラセボ群12%)、高血圧が6%(プラセボ群0%)であった。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はゲムシタビン+サイラムザ群の6%に対してゲムシタビン+プラセボ群で5%を示した。
以上のRAMES試験の結果よりCarmine Pinto氏らは「治療歴のある悪性胸膜中皮腫患者に対する抗VEGFR-2モノクローナル抗体サイラムザ+ゲムシタビン併用療法は、ゲムシタビン+プラセボ併用療法に比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善し、忍容性も良好でした。以上の結果より、本治療は治療歴のある悪性胸膜中皮腫に対する標準治療になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。 Gemcitabine with or without ramucirumab as second-line treatment for malignant pleural mesothelioma (RAMES): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial(Lancet Oncol. 2021 Sep 06; S1470-2045(21)00404-6. doi:10.1016/S1470-2045(21)00404-6.)