2021年8月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対する経口プロテアソーム阻害薬であるニンラーロ(一般名:イキサゾミブ、以下ニンラーロ)+皮下注リツキシマブ+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のHOVON124/ECWM-R2試験(NL5025)の最終アップデート解析の結果がUniversity of AmsterdamのMarie José Kersten氏らにより公表された。
HOVON124/ECWM-R2試験は、再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対してニンラーロ+皮下注リツキシマブ+デキサメタゾン併用療法を投与し、第2相段階における主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同の第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、再発難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)に対するプロテアソーム阻害薬は有用性があることが報告されているが、末梢神経障害をはじめとした神経毒性が確認されている。以上の背景より、末梢神経障害の発症が注射剤に比べて低率である可能性が示唆されている経口プロテアソーム阻害薬ニンラーロの有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された59人の患者の年齡中央値は69歳(46~91歳)。前治療歴中央値は2レジメン(1~7レジメン)。IPSSスコア分類はintermediateもしくはhighが70%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は71%(N=42/59人)を示し、その奏効の内訳は最良部分奏効率(VGPR)15%、部分奏効率(PR)46%、小奏効率24%を示した。M型免疫グログリン(IgM)レベルは投与サイクル2サイクル後で統計学的有意に減少した(中央値3,700-2,700mg/dL、P<0.0001)
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は36ヶ月、初回奏効期間中央値は4ヶ月を示した。また、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)はそれぞれ未到達、24ヶ月無増悪生存率(PFS)56%、24ヶ月全生存率(OS)88%を示した。
一方の安全性として、主な有害事象(AE)はグレード2もしくは3の血球減少症、グレード1もしくは2の神経毒性、グレード2もしくは3の感染症であった。なお、皮下注リツキシマブの投与により確認されたインフュージョンリアクション、M型免疫グログリン(IgM)の悪化はなかった。
以上のHOVON124/ECWM-R2試験の最終アップデート解析の結果よりMarie José Kersten氏らは以下のように結論を述べている。「再発/難治性ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)患者に対する経口プロテアソーム阻害薬ニンラーロ+皮下注リツキシマブ+デキサメタゾン併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。
Combining Ixazomib With Subcutaneous Rituximab and Dexamethasone in Relapsed or Refractory Waldenström's Macroglobulinemia: Final Analysis of the Phase I/II HOVON124/ECWM-R2 Study(J Clin Oncol. 2021 Aug 13;JCO2100105. doi: 10.1200/JCO.21.00105.)