EZH2阻害剤タズベリク、濾胞性リンパ腫の適応で新発売ーエーザイー


  • [公開日]2021.08.17
  • [最終更新日]2021.08.17

8月16日、エーザイ株式会社は、抗がん剤EZH2阻害剤であるタズベリク錠200mg(一般名:タゼメトスタット臭化水素酸塩、以下タズベリク)について、再発または難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)を効能効果として国内での発売を開始したと発表した。

経口EZH2阻害剤タズベリクは、発がんプロセスに関与するヒストンメチル基転移酵素のひとつであるEZH2を選択的に阻害することで、がん関連遺伝子の発現を制御し、がん細胞の増殖を抑制するとされている。タズベリクは、2021年6月に製造販売承認を取得し、8月に薬価収載されていた。

今回の発売は、国内で実施した臨床2相試験(206試験)と海外の臨床試験の結果などに基づくもの。206試験は、前治療後に再発、病勢進行したEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫の患者(N=17人)を対象に行った多施設共同、非盲検、単群臨床試験であり、主要評価項目である客観的奏効率ORR)は76.5%(90%信頼区間:53.9~91.5%)を示し、事前に設定した閾値奏効率を統計学的有意に上回った。

エーザイはニュースリリースにて、「日本において『タズベリク』をEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫治療の新たな選択肢としてお届けするとともに、本剤の承認条件として定められている特定使用成績調査(全例調査)を適切に実施し、適正使用を推進してまいります。当社は、本剤によるがん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります」と述べている。

【製品概要】
製品名:タズベリク(R)錠200mg
一般名:タゼメトスタット臭化水素酸塩
効能・効果:再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫
      (標準的な治療が困難な場合に限る)
用法・用量:通常、成人にはタゼメトスタットとして1回800㎎を1日2回経口投与する。
      なお、患者の状態により適宜減量する。
薬価:タズベリク錠200mg1錠3,004.60円
包装:タズベリク錠200mg56錠(PTP14T×4)

EZH2とは
EZH2はエピジェネティクス関連タンパク質群のうちヒストンメチル基転移酵素に属するタンパク質。ヒストンタンパクのリジン残基(H3K27)のメチル化を特異的に触媒することで種々の遺伝子発現を制御する。EZH2遺伝子の機能獲得型変異や過剰発現、あるいはEZH2抑制因子の機能不全によるH3K27のメチル化の亢進が発がんおよび腫瘍増殖に重要な役割を担っていると考えられている。

濾胞性リンパ腫とは
ホジキンリンパ腫の10~20%を占める低悪性度B細胞リンパ腫。進行は一般的に緩徐で、化学療法の感受性は良好だが、再発を繰り返すことが多く、治癒が困難な疾患でとされている。濾胞性リンパ腫のうち、7~27%がEZH2遺伝子に機能獲得型変異を有すると報告されており、国内では推定約600~2400人がEZH2変異陽性の濾胞性リンパ腫患者。

参照元:
エーザイ株式会社 ニュースリリース

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