局所進行性直腸腺がん患者に対するネオアジュバント療法としての放射線療法+mFOLFOX-6+バベンチオ併用療法、病理学的寛解率37.5%を示すESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer


  • [公開日]2021.08.16
  • [最終更新日]2021.08.09
この記事の3つのポイント
・局所進行性直腸腺がん患者が対象の第2相試験
・アジュバンド療法として放射線療法+mFOLFOX-6+バベンチオ併用療法の有効性安全性を検証
病理学的寛解率(pCR)37.5%であり、過去の症例群の16%に比べて高率であった

2021年6月31日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にて局所進行性直腸腺がん患者に対するネオアジュバント療法としての放射線療法後のmFOLFOX-6+抗PD-L1抗体薬であるバベンチオ(一般名:アベルマブ、以下バベンチオ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のAverectal試験(NCT03503630)の結果がAmerican University of Beirut Medical CenterのA. Shamseddine氏らにより公表された。

Averectal試験は、局所進行性直腸腺がんに対するネオアジュバント療法として放射線療法(25Gy)後、mFOLFOX-6(オキサリプラチン+5FU+ロイコボリン)+バベンチオ併用療法を6サイクル投与し、3~4週間空けて全直腸間膜切除(TME)を実施し、主要評価項目として病理学的寛解率(pCR)を検証したオープンラベルシングルアームの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、局所進行性直腸腺がんに対するネオアジュバント療法は近年の臨床試験より、標準治療であるフルオロピリミジン系を用いた化学放射線療法後に手術+アジュバント療法を行う方法と比較して有効性が示され、必要不可欠な治療法であることが確認されている。また、基礎試験にて放射線療法後の免疫チェック阻害薬の治療は良好な抗腫瘍効果を示している。以上の背景より、局所進行性直腸腺がん患者に対するネオアジュバント療法としての放射線療法、mFOLFOX-6+抗PD-L1抗体薬バベンチオ療法の有効性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の対象となった患者40人の患者背景は下記の通りである。性別は男性65%(N=26人)、女性35%(N=14人)。年齢中央値は58.5歳(31.0~74.0歳)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である病理学的寛解率(pCR)37.5%(N=15/40人)、過去の症例群における病理学的寛解率(pCR)16%に比べて高率であった(P=0.025)。また、near complete response(腫瘍内の生存細胞が10%以下)は30%(N=12/40人)、major pathologic response率(mpRR)は67.5%(N=27/40人)を示した。一方の安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率は17.7%であった。

以上のAverectal試験の結果よりA. Shamseddine氏らは「局所進行性直腸腺がん患者に対するネオアジュバント療法としての放射線療法+mFOLFOX-6+抗PD-L1抗体薬バベンチオ併用療法は、主要評価項目達成基準値の病理学的寛解率(pCR)を示しました。3年無病生存率および全生存率は後日報告する予定です」と述べている。

Efficacy and safety of neoadjuvant short-course radiation followed by mFOLFOX-6 plus avelumab for locally-advanced rectal adenocarcinoma: Averectal study(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer,Abstract SO-30)

×

リサーチのお願い


この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン