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RAS野生型切除不能進行性/再発大腸がんに対する導入療法としてのFOLFIRI+セツキシマブ+維持療法としてのFOLFIRI+ベバシズマブ、無増悪生存期間13.4ヶ月を示す

[公開日] 2021.08.06[最終更新日] 2021.08.06

この記事の3つのポイント ・RAS野生型切除不能進行性/再発大腸がん患者が対象の第2相試験 ・導入療法としてのFOLFIRI+セツキシマブ、維持療法としてのFOLFIRI+ベバシズマブの有効性・安全性を検証 ・無増悪生存期間は全患者では13.4ヶ月、ETS達成群で14.2ヶ月を示した

2021年6月30日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer)にてRAS野生型切除不能進行性/再発大腸がん患者に対するFOLFIRI+抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ導入療法、維持療法としてのFOLFIRI+ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(UMIN000023026)の結果が国立がん研究センター中央病院の庄司広和氏らにより公表された。

本試験は、RAS野生型切除不能進行性/再発大腸がん患者(N=30人)に対する導入療法として1週を1サイクルでFOLFIRI+セツキシマブ250mg/m2併用療法を最大4コース実施し、8週後の初回評価でearly tumor shrinkage(ETS)が得られた場合は、治療開始日から16週までFOLFIRI+セツキシマブ療法を追加し、その後FOLFIRI+ベバシズマブ療法に変更する。また、early tumor shrinkage(ETS)が得られなかった場合は、FOLFIRI+セツキシマブ療法を終了し、FOLFIRI+ベバシズマブ療法に変更する。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目はearly tumor shrinkage(ETS)割合、客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。なお、early tumor shrinkage(ETS)は標的病変の最長径の合計が20%以上減少した場合と定義された。

本試験が開始された背景として、抗EGFR抗体薬によるearly tumor shrinkage(ETS)の達成は転移性大腸がんの予後を改善することが過去の臨床試験で示唆されている。しかしながら、抗EGFR抗体薬はその有害事象(AE)である皮膚障害のために長期的な治療が困難である。以上の背景より、RAS野生型切除不能進行性/再発大腸がん患者に対するearly tumor shrinkage(ETS)評価に基づくFOLFIRI+セツキシマブ療法、FOLFIRI+ベバシズマブ療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値25.4ヶ月時点における評価可能な患者(N=29人)の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は13.4ヶ月(95%信頼区間:9.0~15.8ヶ月)を示した。また、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値は34.7ヶ月(95%信頼区間:24.16ヶ月~未到達)を示した。奏効率(RR)は72.4%(N=21/29人)、early tumor shrinkage(ETS)割合75.9%(N=22/29人)を示した。

early tumor shrinkage(ETS)達成有無別の無増悪生存期間(PFS)は達成群(N=22人)で14.2ヶ月、非達成群(N=7人)で6.1ヶ月を示した。また、conversion surgery(非手術療法を一定期間施行した結果、切除可能になった場合に行われる外科的切除術)に至った患者はearly tumor shrinkage(ETS)達成群で10人、非達成群で1人であった。なお、early tumor shrinkage(ETS)達成群でconversion surgeryに至らなかった患者(N=12人)の無増悪生存期間(PFS)中央値は14.6ヶ月(95%信頼区間:6.08~25.92ヶ月)を示した。

一方の安全性として、グレード2~3の爪囲炎は13人の患者で確認され、early tumor shrinkage(ETS)達成群で43.3%(N=12/22人)、非達成群で14.3%(N=1/7人)を示した。発生までの期間は中央値10週(5~22週)であった。

以上の第2相試験の結果より庄司広和氏らは「RAS野生型切除不能進行性/再発大腸がん患者に対するearly tumor shrinkage(ETS)評価に基づくFOLFIRI+抗EGFR抗体薬セツキシマブ療法、FOLFIRI+ベバシズマブ併用療法は効果的な治療選択肢になり得ることが本試験より示唆されました」と結論を述べている。

A phase II study of first-line chemotherapy initiating FOLFIRI+cetuximab and switching to FOLFIRI+bevacizumab according to early tumor shrinkage at 8 weeks in RAS wild-type metastatic colorectal cancer: HYBRID trial(ESMO 23rd World Congress on Gastrointestinal Cancer,Abstract P-100)
ニュース 大腸がん 導入療法

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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