転移性膵がんに対するファーストライン治療としてのFOLFIRINOX+維持療法としてのロイコボリン+フルオロウラシル併用療法、QOLの低下を伴わない全生存期間において良好な結果示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.08.05
  • [最終更新日]2021.08.05
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転移性膵がん患者が対象の第2相試験
ファーストライン治療としてのFOLFIRINOX、維持療法としてのロイコボリン+フルオロウラシル投与の有効性安全性を比較検証
QOLの低下を伴わない全生存期間は11.4ヶ月であり、FOLFIRINOX併用療法のみ、
 ゲムシタビンとFOLFIRINOXのシークエンシャル療法に対して高率に延長を示した

2021年7月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて転移性膵がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFIRINOX併用療法、維持療法としてのロイコボリン+フルオロウラシル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のPANOPTIMOX-PRODIGE 35試験の結果がAix Marseille UniversitéのLaetitia Dahan氏らにより公表された。

PANOPTIMOX-PRODIGE 35試験は、転移性膵がん患者(N=276人)に対してFOLFIRINOX併用療法(フルオロウラシル+ロイコボリン+イリノテカンオキサリプラチン)を6ヶ月間実施する群(アームA、N=91人)、またはFOLFIRINOX併用療法を4ヶ月間投与後に維持療法としてロイコボリン+フルオロウラシルを投与する群(アームB、N=92人)、またはゲムシタビン単剤療法とFOLFIRINOX併用療法を交互に実施(シークエンシャル療法)群(アームC、N=90人)に無作為に振り分け、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率PFS)を比較検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、転移性膵がんの予後は不良である。過去の臨床試験にて転移性膵がんに対するFOLFIRINOX併用療法はゲムシタビン単剤療法に比べて全生存期間(OS)を改善する結果が示されている。しかしながら、オキサリプラチン関連の神経毒性は治療に影響を与えるため、stop-and-go療法、シークエンシャル療法等の投与方法が重要である。以上の背景より、転移性膵がん患者に対するFOLFIRINOX併用療法、維持療法としてのロイコボリン+フルオロウラシル併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)はアームA群47.1%、アームB群42.9%、アームC群34.1%を示した。また、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はアームA群10.1ヶ月、アームB群11.2ヶ月、アームC群7.3ヶ月を示した。なお、生活の質(QOL)を低下させることのない全生存期間(OS)中央値はアームA群7.2ヶ月、アームB群11.4ヶ月、アームC群7.5ヶ月であり、維持療法群(アームB)で良好であった。一方の安全性として、グレード3もしくは4の神経毒性発症率はアームA群10.2%に対してアームB群19.8%を示した。

以上のPANOPTIMOX-PRODIGE 35試験の結果よりLaetitia Dahan氏らは「転移性膵がん患者に対するファーストライン治療としてのFOLFIRINOX併用療法、維持療法としてのロイコボリン+フルオロウラシル併用療法は忍容性は問題なく、抗腫瘍効果も良好でした。しかしながら、重篤な神経毒性発症率は高率であり、この理由はオキサリプラチンの蓄積量が高いためである可能性が考えられます」と結論を述べている。

Randomized Phase II Trial Evaluating Two Sequential Treatments in First Line of Metastatic Pancreatic Cancer: Results of the PANOPTIMOX-PRODIGE 35 Trial(J Clin Oncol. 2021 Jul 21;JCO2003329. doi: 10.1200/JCO.20.03329.)

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