2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、再発/難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するヒストンメチル化酵素EZH1/2阻害薬であるバレメトスタット(DS-3201b)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02732275)の結果が名古屋市立大学の楠本茂氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性非ホジキンリンパ腫患者に対して28日を1サイクルとして1日1回バレメトスタット(DS-3201b)150~300mg(用量漸増コホート)、1日1回バレメトスタット(DS-3201b)200mg(用量拡大コホート)単剤を投与し、主要評価項目として安全性、第2相試験推奨用量(RPIID)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同の第1相試験である。
本試験が開始された背景として、EZH2遺伝子変異は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)を含む非ホジキンリンパ腫の発症、病勢進行と深く関連がある。ヒストンメチル化酵素EZH1とEZH2の二重阻害薬であるバレメトスタット(DS-3201b)は血液悪性腫瘍に対して有望な抗腫瘍効果を基礎試験にて示している。以上の背景より、再発/難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するヒストンメチル化酵素EZH1とEZH2の二重阻害薬バレメトスタット(DS-3201b)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者の年齢中央値68歳(37~88歳)。1日1回バレメトスタット(DS-3201b)150~300mg単剤群78人のうち、62人は1日1回バレメトスタット(DS-3201b)200mgを投与された。観察中央値28.1週間時点で78人のうち22人(28.2%)が治療を継続していた。
主要評価項目である安全性は、1つ以上の治療関連有害事象(TRAE)を経験した患者は97.4%(N=76人)であり、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は65.4%(N=51人)、重篤な治療関連有害事象(SAEs)発症率は20.5%(N=16人)であった。
治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は41%(N=32人)、減量率9%(N=7人)の患者で確認されている。30%以上の患者で確認された有害事象(AE)は血小板数減少59.0%、味覚障害51.3%、貧血37.2%、好中球数減少34.6%、脱毛症32.1%、白血球数減少30.8%を示した。なお、グレード3以上の血小板数減少は15.4%(N=12人)、血小板減少症5.1%(N=4人)の患者で確認されている。
一方の有効性として、有効性評価可能であった再発/難治性末梢T細胞リンパ腫(PTCL)患者(N=45人)、再発/難治性成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)患者(N=14人)において客観的奏効率(ORR)は50%以上を達成している。
以上の第1相試験の結果よりShigeru Kusumoto氏らは「再発/難治性非ホジキンリンパ腫患者に対するヒストンメチル化酵素EZH1とEZH2の二重阻害薬バレメトスタット(DS-3201b)単剤療法は忍容性に問題なく、抗腫瘍効果も期待でき、さらなる評価が必要であることがわかりました」と結論を述べている。
FIRST-IN-HUMAN STUDY OF THE EZH1 AND EZH2 DUAL INHIBITOR VALEMETOSTAT TOSYLATE (DS-3201B) IN PATIENTS WITH RELAPSED OR REFRACTORY NON-HODGKIN LYMPHOMAS(EHA2021 Virtual,Abstract No:S218)