ステージIIIAの非小細胞肺がんに対する術前化学療法としてのシスプラチン+ドセタキセル+イミフィンジ併用療法、1年無イベント生存率73%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.07.26
  • [最終更新日]2021.07.21
この記事の3つのポイント
ステージIIIA非小細胞肺がんが対象の第2相試験
術前化学療法としてのシスプラチンドセタキセルイミフィンジ併用療法の有効性安全性を検証
・1年無イベント生存率73%を示す

2021年7月12日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてステージIIIA非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第2相のSAKK 16/00試験(NCT02572843)の結果がUniversity Hospital BaselのSacha I. Rothschild氏らにより公表された。

本試験は、ステージIIIA非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法として3週を1サイクルとしてシスプラチン100mg/m2+ドセタキセル85mg/m2を3サイクル投与後、2週を1サイクルとしてイミフィンジ750mg単剤を2サイクル投与し、主要評価項目として1年無イベント生存率(EFS:有意差基準として48~65%を設定)を検証したシングルアームの第2相試験である。

本試験に登録された68人の患者に対する結果は下記の通りである。術前化学療法としてのシスプラチン+ドセタキセル併用療法後の放射線画像による奏効率は43%(95%信頼区間:31%~56%)、イミフィンジ単剤療法後の放射線画像による奏効率は58%(95%信頼区間:45%~71%)を示した。

また、55人の患者が切除され、その内MPR(major pathologic response:10%以下の生存腫瘍細胞)を達成した患者が62%(N=34人)、病理学的完全奏効率(pCR)を達成した患者が18%(N=10人)であった。術後のダウンステージ(ypN0-1)が確認された患者は67%(N=37人)で、手術を実施した患者の93%(N=51人)がR0切除率を達成した。

主要評価項目である1年無イベント生存率(EFS)は73%(90%信頼区間:63~82%)、フォローアップ期間中央値28.6ヶ月時点における無イベント生存期間(EFS)中央値は未到達だった。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)を発症した患者は88%(N=59人)を示した。なお、このうち2件の重篤な有害事象(SAE)が発生しているが、その原因は治療関連ではないことが確認されている。

以上のSAKK 16/00試験の結果よりSacha I. Rothschild氏らは「ステージIIIA非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としてシスプラチン+ドセタキセル併用療法への抗PD-L1抗体薬イミフィンジの上乗せ効果は、化学療法単独の過去データよりもmajor pathologic response、1年無イベント生存率(EFS)を改善する可能性が示唆されました」と結論を述べている。

SAKK 16/14: Durvalumab in Addition to Neoadjuvant Chemotherapy in Patients With Stage IIIA(N2) Non–Small-Cell Lung Cancer—A Multicenter Single-Arm Phase II Trial(J Clin Oncol. 2021 Jul 12;JCO2100276. doi: 10.1200/JCO.21.00276.)

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