2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、複数治療歴のある再発/難治性B細胞急性リンパ性白血病(ALL)患者に対するCD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるKTE-X19単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のZUMA-3試験の結果がMoffitt Cancer CenterのBijal D. Shah氏らにより公表された。
ZUMA-3試験は、複数治療歴のある再発/難治性B細胞急性リンパ性白血病(ALL)患者(N=55人)に対してKTE-X19 1×10×(6)CART cells/kg単剤を投与し、主要評価項目として完全寛解率(CR;完全寛解+Cri;血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解)、重要な副次評価項目である奏効持続期間(DOR)、無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した多施設共同の第2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値16.4ヶ月(10.3~22.1ヶ月)時点における結果は下記の通りである。 主要評価項目である完全寛解率(CR)は71%(95%信頼区間:57~82%)を示し、奏効の内訳は完全寛解率(CR)56%、血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解率(CRi)は15%であった。
副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は12.8ヶ月(95%信頼区間:8.7ヶ月~未到達)、無再発生存期間(RFS)中央値は11.6ヶ月(95%信頼区間:2.7~15.5ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は18.2ヶ月(95%信頼区間:15.9ヶ月~未到達)であった。完全寛解(CR)を達成した患者群における微小残存病変(MRD)陰性率は97%を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は95%を示し、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は貧血が49%、好中球減少症が49%であった。また、グレード3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)は24%、神経学的イベントは25%、それぞれ確認された。
以上のZUMA-3試験の結果よりBijal D. Shah氏らは「複数治療歴のある再発/難治性B細胞急性リンパ性白血病(ALL)患者に対するCD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法KTE-X19単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。
PHASE 2 RESULTS OF THE ZUMA-3 STUDY EVALUATING KTE-X19, AN ANTI-CD19 CHIMERIC ANTIGEN RECEPTOR T-CELL THERAPY, IN ADULT PATIENTS WITH RELAPSED/REFRACTORY B-CELL ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA(EHA2021 Virtual,Abstract No:S117)