フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病に対する抗CD19BiTE抗体薬blinatumomab+アイクルシグ、奏効率95%を示すEHA 2021


  • [公開日]2021.07.14
  • [最終更新日]2021.07.14
この記事の3つのポイント
フィラデルフィア染色体陽性の新規もしくは再発/難治性急性リンパ性白血病患者が対象の第2相試験
・blinatumomab(ブリナツモマブ)+アイクルシグ併用療法の有効性安全性を検証
・>全患者における奏効率は95%、血液学的完全寛解(CR+CRi)率は新規患者群で100%、再発/難治性患者群で88%を示した

2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、フィラデルフィア染色体陽性の新規もしくは再発/難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者に対する抗CD19BiTE抗体薬であるblinatumomab(ブリナツモマブ)+チロシンキナーゼ阻害薬であるアイクルシグ(一般名:ポナチニブ、以下アイクルシグ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNicholas Short氏らにより公表された。

本試験は、フィラデルフィア染色体陽性の新規もしくは再発/難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者に対してblinatumomabを最大5サイクル+1日1回アイクルシグ30mg(分子遺伝学的完全奏効(CMR)を達成した場合は1日1回アイクルシグ15mg)を最大5年間投与し、有効性、安全性を検証したシングルアームの第2相試験である。

新規患者群の主要評価項目は、分子遺伝学的完全奏効(CMR)、再発/難治性患者群の主要評価項目は、全奏功率(ORR)(CR:完全寛解+CRi:血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解複合)。副次的評価項目は、安全性評価、無イベント生存率(EFS)、全生存率(OS)だった。

本試験が開始された背景として、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(ALL)に対して抗CD19BiTE抗体薬blinatumomab、チロシンキナーゼ阻害薬アイクルシグは単剤療法でそれぞれ有効性を示している。以上の背景より、両剤を併用することで相乗的な抗腫瘍効果が発揮されるかどうかを検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された28人の患者背景は下記の通りである。急性リンパ性白血病(ALL)のステータスは新規19人、再発/難治性9人。年齢中央値は新規で59歳(25~83歳)、再発/難治性で62歳(34~83歳)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

全患者における奏効率は95%を示し、全奏功率(ORR)は新規患者群で100%、再発/難治性患者群で88%であった。分子遺伝学的完全奏効(CMR)を達成した患者の割合は新規患者群で87%に対して再発/難治性患者群で86%を示した。

フォローアップ期間中央値14ヶ月時点における全患者群における1年全生存率(OS)は94%、1年無イベント生存率 (EFS)は81%、新規患者群における1年全生存率(OS)は100%、1年無イベント生存率 (EFS)は100%、再発/難治性患者群における1年全生存率(OS)は88%、1年無イベント生存率 (EFS)は55%を示した。

一方の安全性として、忍容性は良好であり、発症した有害事象(AE)のほとんどはグレード1~2であった。なお、blinatumomab関連の有害事象(AE)による治療中止に至った患者は1人、アイクルシグ関連の有害事象(AE)による治療中止に至った患者は0人であった。

以上の第2相試験の結果よりNicholas Short氏らは「フィラデルフィア染色体陽性の新規もしくは再発/難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者に対する抗CD19BiTE抗体薬blinatumomab+チロシンキナーゼ阻害薬アイクルシグ併用療法は、高率な分子遺伝学的完全奏効(CMR)を示し、忍容性も良好でした」と結論を述べている。

INTERIM RESULTS OF A PHASE II STUDY OF BLINATUMOMAB PLUS PONATINIB FOR PHILADELPHIA CHROMOSOME-POSITIVE ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA(EHA2021 Virtual,Abstract No:S113)

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