2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、未治療のステージIII期またはIV期の古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗 CD30抗体薬物複合体アドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン、以下アドセトリス)+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(A+AVD)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のECHELON-1試験(NCT01712490)の5年長期フォローアップの結果がCopenhagen University HospitalのMartin Hutchings氏らにより公表された。
ECHELON-1試験は、未治療のステージIII期またはIV期の古典的ホジキンリンパ腫患者に対してA+AVD併用療法を投与する群(N=664人)、またはドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABVD)併用療法を投与する群(N=670人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として5年無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した非盲検多施設共同無作為化の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値60.9ヶ月(95%信頼区間:55.2~56.7ヶ月)時点の結果は下記の通りである。主要評価項目である5年無増悪生存率(PFS)はA+AVD療法群の82.2%(95%信頼区間:79.0%~85.0%)に対してABVD療法群で75.3%(95%信頼区間:71.7%~78.5%)と、A+AVD療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが31.9%(HR:0.681、95%信頼区間:0.534-0.867、P=0.002)減少した。
一方の安全性として、治療起因により末梢神経障害を発症した患者のうち、A+AVD療法群で85%、ABVD療法群で86%が完全寛解、症状改善に至った。また、グレード別の末梢神経障害発症率はA+AVD療法群でグレード1が17%、グレード2が9%、グレード3が3%、グレード4が1%未満に対してABVD療法群でグレード1が14%、グレード2が6%、グレード3が1%を示した。二次がんを発症した患者はA+AVD療法群で19人、ABVD療法群で29人であった。
以上のECHELON-1試験の5年長期フォローアップの結果よりMartin Hutchings氏らは「未治療のステージIII期またはIV期の古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗CD30 抗体薬物複合体アドセトリス+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(A+AVD)併用療法は、5年長期に渡り無増悪生存期間(PFS)を改善し、末梢神経障害の経過も良好でした」と結論を述べている。
BRENTUXIMAB VEDOTIN WITH CHEMOTHERAPY FOR PATIENTS WITH PREVIOUSLY UNTREATED, STAGE III OR IV CLASSICAL HODGKIN LYMPHOMA: A 5-YEAR UPDATE OF THE PHASE 3 ECHELON-1 STUDY (NCT01712490)(EHA2021 Virtual,Abstract No:S205)