放射性医薬品ルタテラ、神経内分泌腫瘍の適応で承認取得ー富士フイルム富山化学ー


  • [公開日]2021.06.30
  • [最終更新日]2021.06.28

6月23日、富士フイルム富山化学株式会社は、放射性医薬品である「ルタテラ静注(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)、以下ルタテラ)」について、日本で初めてのペプチド受容体放射性核種療法剤として「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を適応症に製造販売承認を取得したと発表した。

ルタテラは、腫瘍に発現している受容体に特異的に結合する化合物に放射性物質を標識して投与することで、体内から病巣に放射線を照射する放射性リガンド療法の一つ。ペプチド受容体放射性核種療法(PRPT)に用いられる放射性医薬品である。ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素のルテチウム177を標識している。神経内分泌腫瘍に高率で発現するソマトスタチン受容体に結合し、ルテチウム177から放出される放射線でがん細胞を直接攻撃する。

神経内分泌腫瘍は、ホルモンやペプチドを分泌する神経内分泌細胞に由来する腫瘍で、なかでも膵臓、消化管、肺に多く発生する。薬物療法での選択肢が限られていることから、アンメットメディカルニーズの高い疾患であり、海外ではPRRTによる治療が行われている。

今回の承認は、国内で実施した第1相臨床試験および、第1/2相臨床試験において、日本人患者におけるルタテラの有効性安全性を確認できたことに基づくもの。なお、ルタテラと併用で投与するアミノ酸輸液「ライザケア輸液」も同時に国内製造販売承認を取得した。

富士フイルム富山化学はニュースリリースにて「すでに販売している、神経内分泌腫瘍の診断用放射性医薬品『オクトレオスキャン静注用セット(インジウムペンテトレオチド(111In)注射液調製用)』に、今後発売予定の治療用放射性医薬品「ルタテラ」を加えることで、神経内分泌腫瘍の診断から治療までのトータルソリューションを展開していきます」と述べている。

参照元:
富士フイルム富山化学株式会社 ニュースリリース

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