6月22日、中外製薬株式会社は遺伝子変異解析プログラムである「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」について、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有するがんに対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)とキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)のコンパニオン診断としての承認を6月21日に取得したと発表した。
オプジーボとキイトルーダはいずれもヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、T細胞のPD-1に結合することにより、PD-1リガンドとの結合を阻害することで、がん細胞により不応答になっていたT細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を発揮する。オプジーボは高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する結腸・直腸がん、キイトルーダは高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する固形がんをそれぞれ適応症として取得している。(参照元:オノオンコロジー オプジーボ、キイトルーダ.jp)
今回の承認により、FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルにて進行・再発がん患者のマイクロサテライト不安定性を判定することで、対象疾患に対する免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボとキイトルーダ各々の薬剤の適応判定補助として利用ができる。
中外製薬代表取締役社長CEOの奥田修氏は「MSI-Highは様々な臓器のがんで確認されており、このゲノム異常を有するがんに対して、免疫チェックポイント阻害剤が治療選択肢となり得ます。個別の遺伝子変異の情報を包括的に把握可能なことに加え、マイクロサテライト不安定性の判定が可能なことも本製品の特長です」と話すとともに「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルによる検査を通じ、より多くのがん患者さんが最適な治療にアクセスできるよう、貢献してまいります」と述べている。
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは
ゲノムには数個のDNA(デオキシリボ核酸)からなる短い文字列が何度も繰り返す「マイクロサテライト」とよばれる部分があり、それが繰り返し異常が起こった状態。マイクロサテライトの異常が直接的にがんの発生につながるわけではないが、MSI-Highを示す組織は、がんが発生しやすい状態と考えられている。
FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルとは
FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルは次世代シークエンサーを用いた包括的な遺伝子変異解析プログラム。米国のファウンデーション・メディシン社が開発した。固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および再編成などの変異などの検出や解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability:MSI)の判定や腫瘍の遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden:TMB)の算出を行う。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いられている。
中外製薬株式会社 ニュースリリース