第一三共株式会社と英アストラゼネカ社は6月15日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(開発コード:DS-8201)について、HER2陽性の乳がん患者への一次治療を対象とした第3相「DESTINY-Breast09試験」において、最初の患者への投与を開始したと発表した。
ADCであるトラスツズマブ デルクステカンが標的とするHER2は、乳がん、胃がん、肺がんや大腸がんなど、多くのがん細胞表面に発現する細胞増殖の調節などに関与するタンパク質。その過剰発現は、疾患の進行や予後の不良と関連している。
DESTINY-Breast09試験は、HER2陽性の切除不能な乳がん患者の一次治療として、トラスツズマブ デルクステカン単剤またはペルツズマブとの併用療法の安全性と有効性を標準治療と比較するグローバル第3相臨床試験。なお、同剤を一次治療として評価する臨床試験は同試験が初めて。
同試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、薬物動態や安全性など。北米、南米、日本を含むアジア、欧州、オセアニアおよびアフリカにおいて、1,134名の患者登録を予定としている。
第一三共とアストラゼネカ社はプレスリリースにて、「HER2陽性の乳がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります」と述べている。
なお、両社はトラスツズマブ デルクステカンとDS-1062/Dato-DXdに関し、それぞれ2019年3月と2020年7月に、全世界(第一三共が独占的権利を有する日本は除く)における共同開発・商業化する契約を締結している。
参照元:第一三共株式会社 プレスリリース