65歳以上の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対するファーストラインとしてのイムブルビカ単剤療法、7年長期解析で無増悪生存期間と全生存期間の延長示すASCO 2021


  • [公開日]2021.06.14
  • [最終更新日]2021.06.10
この記事の3つのポイント
・65歳以上の慢性リンパ性白血病と小リンパ球性リンパ腫患者が対象の第3相試験
ファーストラインとしてのイムブルビカ単剤療法有効性安全性をクロラムブシルと比較検証
・7年長期フォローアップ解析で無増悪生存期間全生存期間ともに延長を示す

2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて未治療の65歳以上の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に対するファーストライン治療としてのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイムブルビカ(一般名:イブルチニブ、以下イムブルビカ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相であるRESONATE-2試験(PCYC-1115/1116; NCT01722487)の7年長期フォローアップ解析の結果がUniversity of Rochester Medical CenterのPaul M. Barr氏らにより公表された。

RESONATE-2試験とは、染色体17p欠失を除く未治療の65歳以上の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者(N=269人)に対するファーストライン治療として1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=136人)、または28日を1サイクルとして1、15日目にクロラムブシル0.5~0.8mg/kg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=133人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率ORR)などを比較検証した国際多施設共同ランダム化第3相試験である

本試験が開始された背景として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイムブルビカは慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長した唯一の標的治療薬である。以上の背景より、本試験の長期フォローアップ解析の結果が公表された。

本試験のフォローアップ期間中央値74.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。病勢進行または死亡(PFS)のリスクはクロラムブシル群に比べてイムブルビカ群で84%の減少(HR:0.160、95%信頼区間:0.111−0.230)を示した。また、6.5年無増悪生存率(PFS)はイムブルビカ群の61%に対してクロラムブシル群で9%を示した。なお、この結果はIGHV遺伝子変異、染色体11q欠失を含む全てのサブグループで確認されている。副次評価項目である6.5年全生存率(OS)は78%、客観的奏効率(ORR)は92%を示した。

一方の安全性として、治療期間6~7年の期間に確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は高血圧4%(N=3人)、心房細動1%(N=1人)であり、グレード3以上の出血関連イベントの発症は確認されていない。

以上のRESONATE-2試験の7年長期フォローアップ解析の結果よりPaul M. Barr氏らは「慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんに対するファーストライン治療としてのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イムブルビカ単剤療法は、7年の長期に渡り無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが示され、新たな安全性シグナルも認められなかった」と結論を述べている。

Up to seven years of follow-up in the RESONATE-2 study of first-line ibrutinib treatment for patients with chronic lymphocytic leukemia.(2021 ASCO Annual Meeting,Abstract No:7523)

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