2021年5月12日、13日でオンラインミーティングで開催されたESMO Virtual Plenariesにてプラチナ系抗がん剤によるファーストライン治療後に病勢進行した再発/転移性子宮頸がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるCemiplimab(セミプリマブ)単剤療法のセカンドライン治療としての有効性、安全性を比較検証した第3相のEMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験(NCT03257267)の結果がUC Irvine Medical Centre in OrangeのKrishnansu Sujata Tewari氏らにより公表された。
EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験とは、プラチナ系抗がん剤によるファーストライン治療後に病勢進行した再発/転移性子宮頸がん患者(N=608人)に対して3週を1サイクルとしてCemiplimab 350mg単剤療法を投与する群(N=304人)、または主治医選択の化学療法(ペメトレキセド、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン等)を投与する群(N=304人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は51歳(22~87歳)。腫瘍の組織学的分類は扁平上皮がんが477人、腺がんまたは腺扁平上皮がんが131人。EGOG performance scoreはスコア0が46.5%、スコア1が53.5%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、Cemiplimab単剤群の12.0ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で8.5ヶ月と、主治医選択の化学療法群に比べてCemiplimab単剤群で死亡(OS)のリスクを31%減少(HR:0.69、95%信頼区間:0.56-0.84、P<0.001)した。
扁平上皮がんの患者における全生存期間(OS)中央値は、Cemiplimab単剤群の11.1ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で8.8ヶ月と、主治医選択の化学療法群に比べてCemiplimab単剤群で死亡(OS)のリスクを27%減少(HR:0.73、95%信頼区間:0.58-0.91、P=0.003)した。
腺がんまたは腺扁平上皮がんにおける全生存期間(OS)中央値は、Cemiplimab単剤群の13.3ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で7.0ヶ月と、主治医選択の化学療法群に比べてCemiplimab単剤群で死亡(OS)のリスクを44%減少(HR:0.56、95%信頼区間:0.36-0.85、P<0.005)した。一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。貧血がCemiplimab単剤群25%に対して主治医選択の化学療法群45%、吐き気がCemiplimab単剤群18%に対して主治医選択の化学療法群33%、嘔吐がCemiplimab単剤群16%に対して主治医選択の化学療法群23%を示した。なお、有害事象(AE)による治療中止率はCemiplimab単剤群8%に対して主治医選択の化学療法群5%を示した。
以上のEMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験の結果よりKrishnansu Sujata Tewari氏らは「プラチナ系抗がん剤によるファーストライン治療後に病勢進行した再発転移性子宮頸がん患者に対する抗PD-1抗体薬Cemiplimab単剤療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善しました。さらに、この有効性はPD-L1陽性率、腫瘍の組織学的分類に関係なく示されました」と結論を述べている。 CEMIPLIMAB OUTPERFORMS INVESTIGATOR’S CHOICE CHEMOTHERAPY IN THE SECOND-LINE SETTING FOR RECURRENT/METASTATIC CERVICAL CARCINOMA(ESMO Virtual Plenary 2021)