5月19日、エーザイ株式会社は抗がん剤であるレミトロ点滴静注用300μg(一般名:デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え)、以下レミトロ)について、「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」と「再発または難治性の皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)」の治療薬として薬価収載され、販売を開始したと発表した。
日本国内における末梢性T細胞リンパ腫の患者数は6000人未満、皮膚T細胞性リンパ腫は4000人未満と推計されており、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫ともに治療が難しい場合や予後不良の場合があり、厚生労働省の検討会議からも「医療上の必要性が高い医薬品」として評価されている、アンメットメディカルニーズの高い疾患である。
今回の承認は、国内で実施された多施設共同、非盲検、単群の臨床第2相205試験の結果に基づく。205試験は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者(N=17人)と皮膚T細胞性リンパ腫患者(N=19人)を対象にレミトロの有効性と安全性を評価したもの。その結果、奏効率(ORR)は36.1%(95%信頼区間:20.8-53.8)であり、事前に設定した閾値奏効率を統計学的有意に上回った。なお、それぞれの奏効率は、末梢性T細胞性リンパ腫が41.2%(95%信頼区間:18.4-67.1)、皮膚T細胞性リンパ腫が31.6%(95%信頼区間:12.6-56.6)であった。
エーザイ株式会社は、「日本において『レミトロ』を再発または難治性のPTCLおよびCTCL治療の新たな選択肢としてお届けするとともに本剤の承認条件として定められている特定使用成績調査(全例調査)を適切に実施し、適正使用を推進してまいります。引き続き当社は、本剤によるがん治療の可能性を追求し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります」と述べている。
レミトロとは レミトロ(デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え))は、インターロイキン-2(IL-2)とジフテリア毒素の部分配列からなる融合タンパク質で、腫瘍細胞表面上のIL-2受容体と特異的に結合する。細胞内に移行したジフテリア毒素断片がタンパク質合成を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を示すと考えられている。
参照元:エーザイ株式会社 ニュースリリース