2021年4月9日~14日、オンラインミーティングで開催された米国癌研究会(AACR 2021)にて、未治療の局所進行性/転移性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるAACR 2021テセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のIMvigor130試験の追加解析の結果がMonash University and Eastern HealthのIan D. Davis氏らにより公表された。
IMvigor130試験とは、未治療の局所進行性/転移性尿路上皮がん患者に対してテセントリク+ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法を投与する群(Arm A)、テセントリク単剤療法を投与する群(Arm B)、またはプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法を投与する群(Arm C)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として安全性を比較検証した多施設共同ランダム化部分盲検の第3相試験である。
本試験の追加解析が開始された背景として、初回解析結果ではプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法に比べてテセントリク単剤療法で全生存期間(OS)の改善傾向が示されている。以上の背景より、本試験の二次解析の結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値13.3ヶ月時点における結果は下記の通りである。Intent-To-Treat(ITT)集団での全生存期間(OS)中央値はArm B群15.2ヶ月(95%信頼区間:13.1-17.7ヶ月)に対してArm C群13.1ヶ月(95%信頼区間:11.7-15.1ヶ月)、Arm C群に比べてArm Bで死亡(OS)のリスクを1%減少(HR:0.99、95%信頼区間:0.83-1.19)を示した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はArm B群23.4%(95%信頼区間:19.1-28.1%)に対してArm C群44.1%(95%信頼区間:38.9-49.4%)を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値はArm B群29.6ヶ月(95%信頼区間:15.9ヶ月-未到達)に対してArm C群8.1ヶ月(95%信頼区間:6.3-8.5ヶ月)を示した。
一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はArm B群16%に対してArm C群80%、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はArm B群、Arm C群それぞれ1%未満を示した。
以上のIMvigor130試験の追加解析の結果よりIan D. Davis氏らは「未治療の局所進行性/転移性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬テセントリク+白金製剤ベースの化学療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善するものの、初回解析同様に統計学的有意な差は確認されませんでした。しかし、安全性の面においてテセントリク単剤療法は、化学療法よりも優れた忍容性プロファイルを示し、今回の追加解析においても安全性に関する新たな懸念は生じませんでした」と結論を述べている。
Updated overall survival (OS) analysis of atezolizumab (atezo) monotherapy vs chemotherapy in untreated locally advanced or metastatic urothelial carcinoma (mUC) in IMvigor130(AACR Annual Meeting2021,Abstract CT040)