4月21日、アストラゼネカ株式会社は、経口投与可能な次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤であるカルケンスカプセル100mg(一般名:アカラブルチニブ、以下カルケンス)について、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)を適応症として、販売を開始したと発表した。
BTKのシグナル伝達は、慢性リンパ性白血病の基本的な増殖経路である。B細胞内において、B細胞の増殖、輸送、走化、接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすが、カルケンスはこのBTKに共有結合することでその作用を阻害する。既存のBTK阻害剤と比較するとBTKへの選択性が高いことが特徴である。
今回の販売は、国内第1相試験および国際共同第3相ASCEND試験の中間解析結果に基づく。ASCEND試験は、再発/難治性慢性リンパ性白血病患者(N=310人)を1日2回カルケンス100mg単剤療法とリツキシマブ+idelalisib併用療法もしくはリツキシマブ+ベンダムスチン併用療法に1:1に振り分け、主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とした。同試験の結果、カルケンスは病勢進行または死亡リスクを69%減少させた(HR:0.31、95%信頼区間:0.20-0.49、p<0.0001)。
アストラゼネカ社オンコロジー事業本部長の森田慎一郎氏は「慢性リンパ性白血病は長期の治療を必要とする高齢の患者さんが多く、持続的な効果と安全性の認められた治療法についてのアンメットニーズが存在します。こうした患者さんに、新たな治療選択肢となるカルケンスを提供できることを心から嬉しく思います。臨床データを基に本剤の有効性・安全性情報を医療現場にしっかりと提供し、今後もがん患者さんの治療に貢献してまいります」と述べている。
慢性リンパ性白血病(CLL)とは 慢性リンパ性白血病は、2016年に世界で新規罹患数10万5千人で、治療の発展に伴う生存期間の改善のため、患者数は増加するとみられている。日本や東アジアではまれな疾患と見なされており、白血病と診断された患者の1~2%である。CLLでは、骨髄中の造血幹細胞が異常なリンパ球となり、これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いため、異常細胞数が増えるに従い、貧血、感染、出血を引き起こす可能性がある。
参照元:アストラゼネカ株式会社 ニュースリリース