2021年4月1日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて術前化学放射線療法後に切除したステージII/IIIの食道/食道胃接合部がん患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate577試験(NCT02743494)の結果がBaylor Scott & White HealthのRonan J. Kelly氏らにより公表された。
CheckMate577試験とは、術前化学放射線療法後に切除したステージII/IIIの食道/食道胃接合部がん患者(N=794人)に対する術後補助療法として2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤療法を16週間投与後、4週を1サイクルとしてオプジーボ480mg単剤療法を投与する群(N=532人)、またはプラセボ療法を投与する群(N=262人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間(DFS)を比較検証した国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、術前化学放射線療法後に切除した食道/食道胃接合部がんの再発リスクは高いにも関わらず、標準治療として確立された術後補助療法は存在しない。以上の背景よりステージII/III食道/食道胃接合部がん患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値24.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無病生存期間(DFS)中央値はオプジーボ単剤群22.4ヶ月(95%信頼区間:16.6~34.0ヶ月)に対してプラセボ群11.0ヶ月(95%信頼区間:8.3~14.3ヶ月)、オプジーボ単剤群で疾患再発または死亡(DFS)のリスクを31%(HR:0.69、96.4%信頼区間:0.56~0.86、P<0.001)減少した。
一方の安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率はオプジーボ単剤群13%に対してプラセボ群6%、有害事象(AE)による治療中止率はオプジーボ単剤群9%に対してプラセボ群3%を示した。
以上のCheckMate577試験の結果よりRonan J. Kelly氏らは「術前化学放射線療法後に切除した食道/食道胃接合部がん患者に対する術後補助療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法は、統計学的有意に無病生存期間(DFS)を改善しました」と結論を述べている。
Adjuvant Nivolumab in Resected Esophageal or Gastroesophageal Junction Cancer(N Engl J Med. 2021 Apr 1;384(13):1191-1203. doi: 10.1056/NEJMoa2032125.)