2021年3月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて小児および若年成人の再発/難治性B細胞性急性リンパ芽球白血病(B-ALL)患者に対するCD19標的のキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT01593696)の長期フォローアップ結果がNational Cancer Institute(NCI)のNirali N. Shah氏らにより公表された。
本試験は、小児および若年成人の再発/難治性B細胞性急性リンパ芽球白血病(B-ALL)患者に対してCD19標的のCAR-T細胞療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として奏効率などを検証した第1相試験である。
本試験が開始された背景として、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)若年成人患者に対するCD19標的のCAR-T細胞療法の奏効率(CR)は高いにも関わらず、再発率は高率である。小児および若年成人の長期的な転帰を改善するためにCD19標的のCAR-T細胞療法後の同種造血幹細胞移植(Allo HSCT)の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の患者の年齢中央値は13.5歳(4.3~30.4歳)。フォローアップ期間中央値4.8年時点における結果は下記の通りである。完全奏効率(CR)62.0%(N=31人)、微小残存病変(MRD)陰性率90.3%(N=28人)を示した。また、全生存期間(OS)中央値は70.2ヶ月(95%信頼区間:10.4ヶ月~未到達)、同種造血幹細胞移植(Allo HSCT)後の24ヶ月再発率9.5%(95%信頼区間:1.5~26.8%)を示した。同種造血幹細胞移植(Allo HSCT)後の5年無イベント生存率(EFS)は61.9%(95%信頼区間:38.1~78.8%)であった。
以上の第1相試験の長期フォローアップ結果よりNirali N. Shah氏らは「小児および若年成人の再発/難治性B細胞性急性リンパ芽球白血病(B-ALL)患者に対するCD19標的のキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法後の同種造血幹細胞移植(Allo HSCT)は、長期に渡り持続的な抗腫瘍効果を示することが本試験により明らかになりました」と結論を述べている。
Long-Term Follow-Up of CD19-CAR T-Cell Therapy in Children and Young Adults With B-ALL(J Clin Oncol. 2021 Mar 25;JCO2002262. doi: 10.1200/JCO.20.02262.)