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HRAS遺伝子変異陽性頭頸部扁平上皮がんに対するチピファルニブ単剤療法、客観的奏効率55%を示す

[公開日] 2021.04.05[最終更新日] 2021.04.05

この記事の3つのポイント ・HRAS遺伝子変異陽性の再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第2相試験 ・Tipifarnib(チピファルニブ)単剤療法の有効性・安全性を検証 ・客観的奏効率55%、無増悪生存期間5.6ヶ月を示した

2021年3月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてHRAS遺伝子変異陽性の再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する経口ファルネシルトランスフェラーゼ選択的阻害薬であるTipifarnib(チピファルニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKO-TIP-001試験(NCT02383927)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのAlan L. Ho氏らにより公表された。

本試験は、HRAS遺伝子変異陽性の再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対して28日を1サイクルとして1~7日目、15~21日目に1日2回Tipifarnib600mg/900mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者の約4~8%はHRAS遺伝子変異陽性を示している。近年、再発/転移性頭頸部扁平上皮がんの治療成績は向上しているものの、全生存期間(OS)中央値は13~15ヶ月程度であり、予後は不良である。以上の背景より、HRAS遺伝子変異陽性の再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する経口ファルネシルトランスフェラーゼ選択的阻害薬であるTipifarnib単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験で評価可能であった患者は20人。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は55%(95%信頼区間:31.5-76.9%)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:3.6-16.4ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間:7.0-29.7ヶ月)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は貧血37%、リンパ球減少症13%を示した。

以上のKO-TIP-001試験の結果よりAlan L. Ho氏らは「HRAS遺伝子変異陽性の再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する経口ファルネシルトランスフェラーゼ選択的阻害薬Tipifarnib単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、治療選択肢に限りのある本疾患に対して有望な治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Tipifarnib in Head and Neck Squamous Cell Carcinoma With HRAS Mutations(J Clin Oncol. 2021 Mar 22;JCO2002903. doi: 10.1200/JCO.20.02903.)
ニュース 頭頸部がん HRAS

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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