2021年3月19日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて複数治療歴のある再発/難治性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者に対する抗CD20/CD3特異性抗体であるGlofitamab(グロフィタマブ、RO7082859)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のNP30179試験(NCT03075696)の結果がRigshospitaletのMartin Hutchings氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴のある再発/難治性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者(N=171人)に対してGlofitamab0.005~30mg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、最大耐用量(MTD)などを検証した第1相試験である。
本試験に登録された患者における前治療歴中央値は3レジメン、90.6%の患者が前治療に対して難治性を示している。B細胞性非ホジキンリンパ腫の種類は、74.3%の患者がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、その他は濾胞性リンパ腫などである。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である安全性として、サイトカイン放出症候群(CRS)発症率は50.3%(N=86/171人)の患者で確認され、その内グレード3もしくは4のサイトカイン放出症候群(CRS)は3.5%の患者で確認された。
副次評価項目である全患者群における客観的奏効率(ORR)は53.8%、完全奏効率(CR)36.8%、第2相試験推奨用量群における客観的奏効率(ORR)は65.7%、完全奏効率(CR)57.1%を示した。また、完全奏効率(CR)を達成した63人の患者の内、84.1%に該当する53人の患者が観察期間最大値27.4ヶ月時点でも完全奏効(CR)を達成していた。
以上の第1相試験の結果よりMartin Hutchings氏らは「複数治療歴のある再発/難治性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者に対する抗CD20/CD3特異性抗体Glofitamab(RO7082859)単剤療法は、持続的で高率な完全奏効(CR)を達成しました。また、サイトカイン放出症候群(CRS)をはじめとした有害事象(SAE)も管理可能な内容でした」と結論を述べている。
Glofitamab, a Novel, Bivalent CD20-Targeting T-Cell–Engaging Bispecific Antibody, Induces Durable Complete Remissions in Relapsed or Refractory B-Cell Lymphoma: A Phase I Trial(J Clin Oncol. 2021 Mar 19;JCO2003175. doi: 10.1200/JCO.20.03175.)