再発/難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫に対する二重PI3K阻害薬ウムブラリシブ単剤療法、客観的奏効率47.1%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.03.24
  • [最終更新日]2021.03.25
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある再発/難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫患者が対象の第2b相試験
・ウムブラリシブ単剤療法有効性安全性を比較検証
・客観的奏効率は47.1%、初回奏効期間中央値は2.7~4.6ヶ月を示した

2021年3月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて複数治療歴のある再発/難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫患者に対する二重PI3K阻害薬であるUmbralisib(ウムブラリシブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2b相試験の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNathan H. Fowler氏らにより公表された。

本試験は、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む複数治療歴のある再発/難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫患者(N=208人)に対して、1日1回Umbralisib 800mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として初回奏効期間(TTP)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間PFS)、安全性などを検証した多施設共同オープンラベルの2b相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値は安全性については21.4ヶ月、有効性については27.7ヶ月であった。その時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47.1%を示した。また、副次評価項目である初回奏効期間(TTP)中央値は2.7~4.6ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は辺縁帯リンパ腫(MZL)群で未到達、濾胞性リンパ腫(FL)群で11.1ヶ月、小リンパ球性リンパ腫(SLL)群で18.3ヶ月を示した。

無増悪生存期間(PFS)は辺縁帯リンパ腫(MZL)群で未到達、濾胞性リンパ腫(FL)群で10.6ヶ月、小リンパ球性リンパ腫(SLL)群で20.9ヶ月であった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は53.4%、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は15.4%を示した。10%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症11.5%、下痢10.1%、ALT増加6.7%、AST増加7.2%を示した。

以上の第2b相試験の結果よりNathan H. Fowler氏らは「複数治療歴のある再発/難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫患者に対する二重PI3K阻害薬Umbralisib単剤療法は、臨床的で意義のある抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルも管理可能でした」と結論を述べている。

Umbralisib, a Dual PI3Kδ/CK1ε Inhibitor in Patients With Relapsed or Refractory Indolent Lymphoma(J Clin Oncol. 2021 Mar 8;JCO2003433. doi: 10.1200/JCO.20.03433.)

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