3月22日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法のブレヤンジ静注(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル、以下ブレヤンジ)に対して、「再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫」と「再発または難治性の濾胞性リンパ腫」の再生医療等製品製造販売承認を取得したと発表した。
ブレヤンジはCD19を標的としたCAR-T療法。CD19は正常なB細胞が発生するときに細胞表面に発現し、B細胞が悪性化した後も維持される。
今回適応となった大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫は、ともに非ホジキンリンパ腫に該当するB細胞リンパ腫の一種。大細胞型B細胞リンパ腫には、国内で最も発生頻度の高い病型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)も含まれている。再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対する標準的な治療法は確立していないため、新たな治療法の登場が期待されている。また、濾胞性リンパ腫は経過がゆるやかであり、化学療法に対する感受性は良好であるも、進行期では再発を繰り返す。通常アグレッシブ(中・高悪性度)リンパ腫として治療されるグレード3Bの濾胞性リンパ腫においても確立した標準的な治療は存在していない。
今回の承認取得は、2つの臨床試験の結果に基づくもの。再発または難治性のB細胞型非ホジキンリンパ腫患者(N=133人)を対象とした第1相試験では、全奏効割合は74.4%を示した。また、再発または難治性アグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者(N=34人)における全奏効割合は58.8%であり、閾値に対して統計学的有意を示した。
ブリストル・マイヤーズ スクイブと関連会社セルジーン株式会社の代表取締役社長であるジャン=クリストフ・バルランは「日本において当社初のCAR-T細胞療法となるブレヤンジの承認を取得できたことを大変嬉しく思います。ブレヤンジは再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、ならびに再発または難治性の濾胞性リンパ腫の患者さんに新たな治療選択肢を提供します。加えて当社は、異なるアンメットメディカルニーズに応える新たなCAR-T細胞療法の申請も予定しています。『心のこもったイノベーション』を掲げる業界のゲームチェンジャーとして、ブリストル マイヤーズ スクイブは深刻な病と闘う患者さんを助けるための取り組みを継続してまいります」と述べている。
大細胞型B細胞リンパ腫とは 非ホジキンリンパ腫に該当するB細胞リンパ腫の1つ。大細胞型B細胞リンパ腫には、複数の病型が含まれており、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)はB細胞非ホジキンリンパ腫の30~40%を占め、最も発生頻度の高い。好発年齢は60歳代を中心とした高齢者。再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対する標準的な治療法は確立していない。
濾胞性リンパ腫とは B細胞非ホジキンリンパ腫の10~20%を占めている病型。一般的には経過が緩徐であり、化学療法感受性が良好の特徴を持つ。しかし、進行期になると再発を繰り返す。
参照元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 プレスリリース