3月11日、MSD株式会社は、がん化学療法後に増悪した進行/再発の腫瘍遺伝子変異量高スコア(TMB-High)を有する固形がんの治療薬として、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、以下キイトルーダ)の適応拡大の承認申請を行ったと発表した。
キイトルーダは、T細胞に発現する受容体のPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドであるPD-L1/2の相互作用を阻害する免疫チェックポイント阻害薬。同剤はPD-1と結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することで、T細胞に生じたPD-1経路を介する免疫抑制経路を解除する。これにより悪性腫瘍の増殖を制御する役割を持つ。
今回の申請は、多施設共同非ランダム化非盲検試験であるKEYNOTE-158試験のデータに基づくもの。同試験は、固形がんに対して、キイトルーダ200mgを3週間ごとに投与した際の有効性を評価した試験である。
今回の申請により、がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づくキイトルーダの承認申請としては、2018年に承認を取得した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんに次いで、2件目となった。
腫瘍遺伝子変異量(Tumor Mutation Burden; TMB)とは 腫瘍遺伝子変異量(Tumor Mutation Burden; TMB)は、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量でゲノムコーディング領域1メガ塩基 (megabase) あたりの非同義体細胞遺伝子変異数として示される。10変異/megabase以上である状態をTMB-Highと定義している。TMB-Highの腫瘍では、ネオアンチゲンがより多く誘導され、免疫チェックポイント阻害剤に対して良好に反応する可能性が示唆されている。TMB-Highの腫瘍は、悪性黒色腫や非小細胞肺がん、大腸がん、子宮内膜がんなどで比較的多く見られる。
参照元:MSD株式会社 ニュースリリース