治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がんに対するElacestrant単剤療法、客観奏効率19.4%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.03.11
  • [最終更新日]2021.03.09
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者が対象の第1相試験
・Elacestrant(エラセストラント)単剤療法有効性安全性を検証
・客観奏効率19.4%を示し、用量制限毒性の出現は見られなかった

2021年1月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するエストロゲン受容体阻害薬である Elacestrant(エラセストラント、RAD1901)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02338349)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer CenterのAditya Bardia氏らにより公表された。

本試験は、複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対して1日1回Elacestrant(RAD1901)400mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、第2相試験推奨用量(RPIID)などを検証した第1相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値63歳。前治療歴中央値は3レジメン。前治療歴の種類はCDK4/6阻害薬52%、選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)52%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は1人の患者でも確認されなかった。最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は悪心33.3%、血中トリグリセリド増加25.0%、血中リン減少25.0%であった。

副次評価項目である客観的奏効率(ORR)19.4%、24週クリニカルベネフィット率(CBR)42.6%を示した。また、前治療歴別の客観的奏効率(ORR)はCDK4/6阻害薬治療歴のある患者で16.7%、選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)治療歴のある患者で15.0%を示した。

以上の第1相試験の結果よりAditya Bardia氏らは「複数治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するエストロゲン受容体阻害薬である Elacestrant(RAD1901)単剤療法の安全性プロファイルは問題ないことが本試験で確認されました。抗腫瘍効果も良好であり、CDK4/6阻害薬、選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)の前治療歴のある患者においても奏効を確認できました。Elacestrant(RAD1901)と標準的な内分泌療法とを比較検証する第3相試験も進行中です」と述べている。

Phase I Study of Elacestrant (RAD1901), a Novel Selective Estrogen Receptor Degrader, in ER-Positive, HER2-Negative Advanced Breast Cancer(J Clin Oncol. 2021 Jan 29;JCO2002272. doi: 10.1200/JCO.20.02272.)

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