未治療のHER2陰性胃腺がん/食道胃接合部腺がんに対するアンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法、全生存期間を統計学的有意に改善せずJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2021.03.10
  • [最終更新日]2021.03.09
この記事の3つのポイント
・未治療のHER2陰性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者が対象の第3相試験
・アンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法有効性安全性を比較検証
全生存期間は12.5ヶ月で、プラセボ+mFOLFOX6の11.8ヶ月に対して延長を示さなかった

2021年2月12日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のHER2陰性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する抗MMP9抗体であるアンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相GAMMA-1試験(NCT02545504)の結果がInstitut Jules Bordet and L’Université Libre de BruxellesのMartine Piccart氏らにより公表された。

本試験は、未治療のHER2陰性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者(N=432人)に対して28日を1サイクルとして1、15日目にアンデカリキシマブ800mg+mFOLFOX6併用療法を投与する群(N=218人)、または28日を1サイクルとして1、15日目にプラセボ+mFOLFOX6併用療法を投与する群(N=214人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを検証した二重盲検ランダム化プラセボ対照の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、第1/1B相試験にて胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する抗MMP9抗体アンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法の抗腫瘍効果は良好であることが示されている。以上の背景より、未治療のHER2陰性胃腺がん又は食道胃接合部腺がん患者に対するアンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はアンデカリキシマブ+mFOLFOX6群12.5ヶ月に対してプラセボ+mFOLFOX6群11.8ヶ月を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアンデカリキシマブ+mFOLFOX6群7.5ヶ月に対してプラセボ+mFOLFOX6群7.1ヶ月を示した。客観的奏効率(ORR)はアンデカリキシマブ+mFOLFOX6群51%に対してプラセボ+mFOLFOX6群41%を示した。

サブグループ解析の結果、65歳以上の患者群における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の結果はプラセボ+mFOLFOX6群よりもアンデカリキシマブ+mFOLFOX6群で改善傾向を示した。一方の安全性として、両群間で大きく異なる安全性プロファイルは確認されなかった。

以上の第3相試験の結果よりMartine Piccart氏らは「未治療のHER2陰性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する抗MMP9抗体アンデカリキシマブ+mFOLFOX6併用療法は、主要評価項目である全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論を述べている。

Phase III Study to Evaluate Efficacy and Safety of Andecaliximab With mFOLFOX6 as First-Line Treatment in Patients With Advanced Gastric or GEJ Adenocarcinoma (GAMMA-1)(J Clin Oncol. 2021 Feb 12;JCO2002755. doi: 10.1200/JCO.20.02755.)

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