進行性乳頭状腎細胞がんに対するカボメティクス単剤療法、スニチニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間を統計学的有意に改善The Lancetより


  • [公開日]2021.03.03
  • [最終更新日]2021.03.03
この記事の3つのポイント
・進行性乳頭状腎細胞がん患者が対象の第2相試験
カボメティクスクリゾチニブ、サボリチニブの有効性安全性スニチニブと比較検証
・カボメティクスの無増悪生存期間は9.0ヶ月で、標準療法であるスニチニブに対して統計学的有意に延長を認めた

2021年2月13日、医学誌『The Lancet』にて進行性乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボメティクス(一般名:カボザンチニブ、以下カボメティクス)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT02761057)の結果がCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのSumanta K Pal氏らにより公表された。

本試験は、進行性乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者に対して42日を1サイクルとして1日1回スニチニブ50mg単剤療法を4週間投与後、2週間休薬する群、1日1回カボメティクス60mg単剤療法を投与する群、1日2回クリゾチニブ250mg単剤療法を投与する群、1日1回サボリチニブ600mg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同ランダム化オープンラベルの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、乳頭状腎細胞がん(PRCC)の進行に関わる重要なドライバー因子としてMET遺伝子が特定されている。しかしながら、乳頭状腎細胞がん(PRCC)の現状の治療選択肢は限られており、有効な治療法は存在しない。以上の背景より、現在の乳頭状腎細胞がん(PRCC)の標準治療であるスニチニブ単剤療法とその他のマルチキナーゼ阻害薬の有効性、安全性を比較する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者は全群で152人、評価可能であった患者で147人。そして、評価可能であった147人の患者の内、無益性解析(Futility analysis)を行った後、サボリチニブ群29人、クリゾチニブ群28人の患者は除外され、スニチニブ群46人、カボメティクス群44人の患者群における結果は下記の通りである。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はスニチニブ群5.6ヶ月(95%信頼区間:3-7ヶ月)に対してカボメティクス群9.0ヶ月(95%信頼区間:6~12ヶ月)、カボメティクス群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40%(HR:0.60、95%信頼区間:0.37~0.97、P=0.019)減少した。なお、スニチニブ群に比べてサボリチニブ群、クリゾチニブ群は無増悪生存期間(PFS)を改善しなかった。

副次評価項目である奏効率(RR)はカボメティクス群23%に対してスニチニブ群4%を示した(P=0.010)。グレード3~4の有害事象(AE)発症率はスニチニブ群69%、カボメティクス群74%、クリゾチニブ群37%、サボリチニブ群39%。なお、カボメティクス群でグレード5の血栓塞栓性を発症した患者が1人確認されている。

以上の第2相試験の結果よりSumanta K Pal氏らは「進行性乳頭状腎細胞がん(PRCC)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬カボメティクス単剤療法は、スニチニブ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。

A comparison of sunitinib with cabozantinib, crizotinib, and savolitinib for treatment of advanced papillary renal cell carcinoma: a randomised, open-label, phase 2 trial(Lancet. 2021 Feb 20;397(10275):695-703. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00152-5. Epub 2021 Feb 13.)

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