標準治療後に病勢進行したAKT1E17K遺伝子変異陽性転移性がんに対するCapivasertib単剤療法、客観的奏効率28.6%を示すJAMA Oncologyより


  • [公開日]2021.01.18
  • [最終更新日]2021.01.18
この記事の3つのポイント
標準治療後に病勢進行したAKT1E17K遺伝子変異陽性の転移性がん患者が対象の臨床試験
・Capivasertib(カピバセルチブ:AZD5363)単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率28.6%を示し、1名は完全奏効であった

2020年12月30日、医学誌『JAMA Oncology』にて標準治療後に病勢進行したAKT1E17K遺伝子変異陽性の転移性がんに対するCapivasertib(AZD5363)単剤療法の有効性、安全性を検証した臨床試験の結果がColumbia University Irving Medical CenterのKevin Kalinsky氏らにより公表された。

本試験は、標準治療後に病勢進行したAKT1E17K遺伝子変異陽性の転移性がんに対して28日を1サイクルとして1日2回Capivasertib(AZD5363)480mg単剤療法を4日間投与後、3日間休薬を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで継続し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した臨床試験である。なお、ホルモン療法を継続している転移性乳がんの場合はCapivasertib(AZD5363)の投与量は400mgであった。

本試験に登録された35人の年齢中央値61歳(32-73歳)。性別は女性86%(N=30人)。がん種は乳がんが51%(N=18人)と最も多く、次いで婦人科がん31%(N=11人)。なお、乳がんの種類はホルモン受容体陽性HER2陰性15人、トリプルネガティブ乳がん3人。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は28.6%(95%信頼区間:15%-46%)を示した。なお、子宮内膜子宮内膜腺がん患者の1人は完全奏効(CR)を達成した。また、部分奏効(PR)を達成した患者はホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん7人、子宮平滑筋肉腫1人、腫瘍細胞性耳下腺がん1人であった。副次評価項目である6ヵ月無増悪生存率(PFS)は50%(95%信頼区間:35%-71%)を示した。

一方の安全性として、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)は高血糖23%(N=8人)、発疹11%(N=4人)を示し、有害事象(AE)による治療中止率は31%(N=11人)の患者で確認された。

以上の臨床試験の結果よりKevin Kalinsky氏らは「標準治療後に病勢進行したAKT1E17K遺伝子変異陽性の転移性がんに対するCapivasertib(AZD5363)単剤療法は、完全奏効(CR)を達成した患者も1人含まれており、臨床的に意義のある客観的奏効率(ORR)を示しました」と結論を述べている。

Effect of Capivasertib in Patients With an AKT1 E17K-Mutated Tumor. NCI-MATCH Subprotocol EAY131-Y Nonrandomized Trial(JAMA Oncol. Published online December 30, 2020. doi:10.1001/jamaoncol.2020.6741)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン