2020年12月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてステージIII大腸がん患者に対する術後化学療法としてのフッ化ピリミジン系製剤±オキサリプラチン療法の有効性、安全性をACCENT(Adjuvants Colon Cancer End Points)データベースより解析した結果がSaint-Antoine HospitalのRomain Cohen氏らにより公表された。
ACCENTデータベースとは、II/III期の大腸がん患者に対するフッ化ピリミジン系製剤ベースの術後化学療法に関する米国、欧州、豪州、カナダの18試験から個々の患者データを集積したデータベースである。本解析では、ステージIII大腸がん患者に対する術前化学療法としてフッ化ピリミジン系製剤にオキサリプラチンを上乗せする群と上乗せしない群に分け、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)を検証している。
本解析の対象になった5457人の内、マイクロサテライト不安定性(MSI)群は11.2%(N=609人)、マイクロサテライト安定性(MSS)群は88.8%(N=4848人)である。
本試験の結果、マイクロサテライト不安定性(MSI)群における全生存期間(OS)は、フッ化ピリミジン系製剤にオキサリプラチンを上乗せしない群に比べて上乗せする群で改善し、死亡(OS)のリスクを48%(HR:0.52、95%信頼区間:0.28-0.93)統計学的有意に改善した。
また、フッ化ピリミジン系製剤にオキサリプラチンを上乗せする群(N=4250人)のうち、マイクロサテライト不安定性(MSI)群(N=461人)は、マイクロサテライト安定性(MSS)群(N=3789人)に比べて死亡(OS)のリスクが34%(HR:0.66、95%信頼区間:0.46-0.95)減少した。なお、同様の結果は無病生存期間(DFS)でも示されている。
以上のACCENTデータベースの解析結果よりRomain Cohen氏らは「マイクロサテライト不安定性(MSI)のステージIII大腸がん患者に対する術後化学療法としてのフッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン療法は無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)を改善しました」と結論を述べている。
Microsatellite Instability in Patients With Stage III Colon Cancer Receiving Fluoropyrimidine With or Without Oxaliplatin: An ACCENT Pooled Analysis of 12 Adjuvant Trials(J Clin Oncol. 2020 Dec 23;JCO2001600. doi: 10.1200/JCO.20.01600.)