2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて寛解導入不応(PIF)または早期再発(ER;治療終了後6ヵ月以内の再発)の急性骨髄性白血病(AML)患者に対するCD123/CD3二重特異性抗体であるFlotetuzumab単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02152956)の結果がGehr Family Center for Leukemia ResearchのIbrahim Aldoss氏らにより公表された。
本試験は、寛解導入不応(PIF)または早期再発(ER)の急性骨髄性白血病(AML)患者に対して28日間を1サイクルとしてFlotetuzumab 500ng/kg単剤療法を投与し、完全寛解率(CRR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第1/2相試験である。
本試験が開始された背景として、急性骨髄性白血病(AML)患者に対する導入療法の約40%は完全寛解(CR)未達、または早期再発(ER)を発症する。寛解導入不応(PIF)および早期再発(ER)患者の奏効率は12%以下と特に低く、期待される全生存期間の中央値は3.5ヵ月であり、この特定の集団に対する治療法は承認されていない。以上の背景より、CD123/CD3二重特異性抗体であるFlotetuzumab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された38人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は63歳(28-81歳)。性別は女性31.6%(N=12人)。寛解導入不応率(PIF)63.2%(N=24人)。二次性急性骨髄性白血病(AML)34.2%(N=13人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
全患者群における完全寛解率(CR)42.1%(N=16人)を示し、その内訳は完全寛解率(CR)7人、部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)4人、血球数が未回復な完全寛解率(CRi)4人、形態学的無白血病状態率(MLFS)1人であった。
また、寛解導入不応(PIF)群における完全寛解率(CR)45.8%(N=11/24人)を示し、その内訳は完全寛解率(CR)5人、部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)3人、血球数が未回復な完全寛解率(CRi)3人であった。
早期再発(ER)群における完全寛解率(CR)35.7%(N=5/14人)を示し、その内訳は完全寛解率(CR)2人、部分的血液学的回復を伴う完全寛解率(CRh)1人、血球数が未回復な完全寛解率(CRi)1人、形態学的無白血病状態率(MLFS)1人であった。
奏効持続期間(DOR)中央値は3.1ヵ月、全生存期間(OS)中央値は4.5ヵ月(95信頼区間:2.9-8.8ヵ月)、完全寛解率(CR)を達成した患者群における全生存期間(OS)中央値は7.7ヵ月(95信頼区間:2.9ヵ月-未到達)を示した。また、6ヵ月全生存率(OS)は41%(95%信頼区間:22.1%-59.0%)、12ヵ月全生存率(OS)は24%(95%信頼区間:6.1%-42.5%)を示した。
以上の第1/2相試験の結果よりIbrahim Aldoss氏らは「寛解導入不応(PIF)または早期再発(ER)の急性骨髄性白血病(AML)は予後不良であり、治療選択肢に限られる疾患です。本患者に対するCD123/CD3二重特異性抗体Flotetuzumab単剤療法は、完全寛解率(CR)42.1%を示しました」と結論を述べている。
Flotetuzumab As Salvage Therapy for Primary Induction Failure and Early Relapse Acute Myeloid Leukemia(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 331)