治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する進行尿路上皮がんに対するエルダフィチニブ単剤療法、全生存期間を統計学的有意に改善ASCO2023


  • [公開日]2023.07.04
  • [最終更新日]2023.07.04
この記事の3つのポイント
免疫チェックポイント阻害薬治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する進行尿路上皮がんを対象とした第3相試験
・FGFR阻害薬エルダフィチニブの有効性安全性を検証
・エルダフィチニブは医師が選択した化学療法と比較して、全生存期間無増悪生存期間奏効率を有意に改善

2023年6月2日~6日、米国シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、免疫チェックポイント阻害薬治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する進行尿路上皮がんに対して、経口FGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるエルダフィチニブ(erdafitinib)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTHOR試験(NCT03390504)の結果がGustave Roussy InstituteのYohann Loriot氏らにより公表された。

THOR試験は、免疫チェックポイント阻害薬治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する進行尿路上皮がん患者に対して、1日1回エルダフィチニブ 8mg(最大9mgまで増量)単剤を投与する群、もしくは3週を1サイクルとして主治医選択の化学療法(ドセタキセル、もしくはビンフルニン)を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性を比較検証した第3相試験である。

本試験に登録された266人(エルダフィチニブ群136人、主治医選択の化学療法群130人)の患者背景は、年齢中央値がエルダフィチニブ群で66歳、化学療法群で69歳、転移症例が74.3%と74.6%、PD-L1発現症例(CPS<10)が92.7%と86.1%、前治療が1ラインの症例が33.1%と25.4%、2ラインが66.2%と74.6%であった。

主要評価項目であるOSの中央値はエルダフィチニブ群の12.1ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で7.8ヶ月と、エルダフィチニブ群で統計学的有意な改善が見られた(95%信頼区間:0.47-0.88、p=0.005)。

副次評価項目であるPFSの中央値は、エルダフィチニブ群の5.6ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で2.7ヶ月と、エルダフィチニブ群で統計学的有意な改善が見られた(95%信頼区間:0.44-0.78、p=0.0002)。ORRはエルダフィチニブ群の46%に対して主治医選択の化学療法群で12%(95%信頼区間:2.37-6.57, P<0.001)を示し、エルダフィチニブ群で統計学的有意に高い結果となった。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はエルダフィチニブ群の46%に対して主治医選択の化学療法群で46%、重篤な有害事象(SAE)発症率はエルダフィチニブ群の13%に対して主治医選択の化学療法群で24%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡はエルダフィチニブ群の1人に対して主治医選択の化学療法群で6人、確認された。

以上のTHOR試験の結果よりYohann Loriot氏らは、「免疫チェックポイント阻害薬治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する進行尿路上皮がんに対する経口FGFRチロシンキナーゼ阻害薬エルダフィチニブ単剤療法は、主治医選択の化学療法に比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学的有意に改善しました」と結論付けている。

Phase 3 THOR study: Results of erdafitinib (erda) versus chemotherapy (chemo) in patients (pts) with advanced or metastatic urothelial cancer (mUC) with select fibroblast growth factor receptor alterations (FGFRalt)(ASCO 2023 Abst#LBA4619)

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