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がん治療におけるチーム医療に大切なこと

[公開日] 2022.12.16[最終更新日] 2022.12.16

12月14日、肺がん医療向上委員会主催のセミナーがオンラインにて開催された。今回は今年最後のセミナーということもあり、「2022年を振り返ってチーム医療を考える -2023年に向けて」をテーマに、看護師・薬剤師・医師それぞれの立場から、90分に渡る講演・ディスカッションが行われた。 看護師の高橋由美先生(北海道がんセンター看護部)は、チームの中に各専門家それぞれの活動のまとめ役が必要であることを強調し、プライマリーナースがチームの中心となって患者さんの希望に沿った対応につなぐことができた自身の成功体験を語った。患者さんがチームの一員であることを忘れず、カンファレンスなどのフォーマルコミュニケーションに加え、ベッドサイドなどで行う患者さん目線のインフォーマルコミュニケーションを大切にすることが、チーム医療の質の向上につながる、とコメントした。 薬剤師の松尾拓馬先生(都立駒込病院薬剤科)は、薬剤の交付時以外にも、病棟や外来、周術期治療などにおいて薬剤師が参加できるシーンが増えていることに言及。様々なメディカルスタッフとの連携の中で自身の立ち位置や患者さんとの関わり方を考えること、それぞれの専門家が補完し合って患者さん中心のチーム医療を目指すことの重要性を語った。 ディスカッションパートでは、情報共有が一つのキーワードとして挙げられた。直接集まるカンファレンスだけでなく、カルテに悩みやお願いなどの伝達事項はできるだけカルテに残す工夫が重要であること、更にコロナ禍においてはIT活用の重要性も増すとのことであった。また、情報は共有して満足するのではなく、コーディネーター役が中心となってそこから各チームメンバーそれぞれが何をすべきか、という次のアクションの受け渡しまでやることが重要であるとの意見が挙がった。そしてなにより最も大切なことは、医療者間でのコミュニケーションではなく、患者さんやそのご家族との適切な情報共有をし、想いを理解することこそが、チーム医療の目的であることを忘れてはいけないということも話題となった。 大泉 聡史先生(前・肺がん医療向上委員会委員長)は、それぞれのプレーヤー(専門家)が自身の役割に責任を持ち、しかるべきタイミングでボールをつないでいくことの重要性をサッカーに例えてコメントした。そして、来年も続くコロナ禍においては、コミュニケーションの方法も工夫しながら進めていくことが必要であるとして本セミナーを締めた。
【プログラム】 <Opening Remarks> 司会:大泉 聡史(前肺がん医療向上委員会委員長) <講演> 当院のチーム医療の実際 演者:高橋 由美(北海道がんセンター看護部) <講演> チーム医療における薬剤師の役割〜駒込病院薬剤科の取り組み 演者:松尾 拓馬(がん・感染症センター都立駒込病院薬剤科) <総合討論>  ファシリテーター: 鈴木 実(肺がん医療向上委員会委員長) 大泉 聡史(前肺がん医療向上委員会委員長) パネリスト: 中西 洋一(北九州市立病院機構理事長) 瀬戸 貴司(国立病院機構九州がんセンター) 高橋 由美(北海道がんセンター看護部) 松尾 拓馬(がん・感染症センター都立駒込病院薬剤科) <Closing Remarks> 司会:鈴木 実(肺がん医療向上委員会委員長)

■参考
肺がん医療向上委員会 第40回肺がん医療向上委員会 WEBセミナー

ニュース 肺がん チーム医療

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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