固形がん患者に対する初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査、前向き研究が先進治療に適用-国立がん研究センター/ シスメックス/理研ジェネシス-


  • [公開日]2020.04.03
  • [最終更新日]2020.11.25

2020年4月1日、国立研究開発法人国立がん研究センターは、シスメックス株式会社と共同開発した「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide NCCオンコパネル システム注1」(以下「本システム」)を用いて行う「固形がん患者における初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査の実現性と治療選択への有用性を評価する前向き研究」が、先進医療注2として適用されたことを発表した。

なお、検査の開始時期に関しては、国立がん研究センターにおける体制が整い次第、同センターのWebサイトにて公表される。

標準治療終了後の患者に対しては保険適用済み

同システムは、固形がんを解析対象とした腫瘍組織の包括的ながんゲノムプロファイルを取得することで、患者のがん固有の遺伝子変異を解析し、正確な診断や抗がん剤の選定など治療方針決定に有用な情報を提供する検査として、臨床現場で用いられている。現在は、標準治療終了後の患者を対象として保険適用されている。

標準治療開始時のより早い段階からゲノムプロファイリング結果に基づく個別化医療を提供することにより、患者に対してより適切な治療の実施が期待できる可能性が示唆されている。ただし、その臨床的、医療経済的な有用性については明確になっていない。

非小細胞肺がん、大腸がん、乳がんなど計200例の患者を対象に

今回の研究では、進行期または再発の悪性腫瘍病変を有し、薬物療法の対象となる非小細胞肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、胆道がんの患者(計200例)を対象に、標準治療開始時のがんゲノムプロファイリング検査およびその結果に基づいた治療を行うことで、患者のがん固有の遺伝子変異に対応した個別化医療の提供機会拡大およびその治療効果について研究を行う。

なお、採取されたすべての検体は、シスメックスの子会社である株式会社理研ジェネシスのイノベーションゲノムセンターにおいて解析を実施する。

製品概要
・ 一般的名称:遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)
・ 販売名:OncoGuide(TM) NCCオンコパネル システム
 (医療機器製造販売承認番号:23000BZX00398000)
・対象施設:がんゲノムプロファイリング検査に基づく診療体制が整った医療機関
・対象市場:日本

注釈
注1:OncoGuide NCCオンコパネル システム
OncoGuide NCCオンコパネル システムは、シスメックスが、がんゲノムプロファイリング検査用のシステムとして日本で初めて、2018年12月25日に製造販売承認を取得し、2019年6月1日に保険収載された。

同システムを使用したD006-19 がんゲノムプロファイリング検査の保険適用は、標準治療がない固形がん患者または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)であり、関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、全身状態及び臓器機能などから、検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した者に対して実施する場合に限り算定できるが、先進医療では初回治療時使用の有用性を評価する。

注2:先進医療
いまだ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等のうち、厚生労働大臣の承認を受けたもの。
平成16年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者の負担増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとした。

参照元:
国立研究開発法人国立がん研究センター/シスメックス株式会社/株式会社理研ジェネシス プレスリリース

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