国内初、造血器腫瘍が対象の遺伝子パネル検査を開発ー国内主要施設と大塚製薬とのコンソーシアムで臨床的有用性を検証するプロジェクトを開始-


  • [公開日]2020.03.26
  • [最終更新日]2020.03.26

2020年3月26日、国立研究開発法人国立がん研究センターと大塚製薬株式会社は、造血器腫瘍を対象とするがん遺伝子パネル検査 を共同開発したことを発表した。

※がん遺伝子パネル検査︓がんの診断や治療に役立つ情報を得るために、次世代シークエンサーを用いて一度に複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に検出する検査。

研究の概要

このパネル検査では、急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍などの骨髄性腫瘍から、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫などのリンパ系腫瘍、さらに造血器腫瘍と関連する先天性骨髄不全症候群などほとんど全ての造血器腫瘍と関連疾患を対象に、「診断」、「治療法選択」、「予後予測」が可能となることが期待される。

今後、血液がんでの個別化医療の加速と保険適用を目指すため、国立がん研究センター、国立大学法人九州大学、国立大学法人京都大学、国立病院機構名古屋医療センターの各施設に蓄積された既存試料を用いた検証を行うとともに、国立がん研究センターでは実臨床における臨床的有用性の検証にも取り組む。

なお、同研究プロジェクトは、大塚製薬と国内主要施設が共同研究コンソーシアムを形成し協働で取り組んでいく。

研究の背景

がん遺伝子パネル検査は、固形腫瘍を対象としたものが既に保険適用されているが、造血器腫瘍を対象としたものについて保険適用とされているものは国内外ともに存在しない。

固形がんと造血器腫瘍では、認められる遺伝子異常の種類が大きく異なることや、造血器腫瘍の腫瘍細胞は末梢血、骨髄、リンパ節など様々な組織に含まれるため検査に用いる試料が様々であること、検査の目的が固形がんでは「治療法選択」が主であるのに対し、造血器腫瘍では「診断」と「予後予測」も必要などの理由で、固形腫瘍とは異なる独自の開発が求められている。

参照元:
国立研究開発法人国立がん研究センター・国立大学法人九州大学・国立大学法人京都大学・国立病院機構名古屋医療センター・大塚製薬株式会社プレスリリース

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