リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がん維持療法として希少疾病用医薬品の指定取得


  • [公開日]2020.03.19
  • [最終更新日]2020.03.19

2020年3月17日、アストラゼネカ株式会社(以下、アストラゼネカ)は、オラパリブ(商品名:リムパーザ)がBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける維持療法として、希少疾病用医薬品指定を取得したことを発表した。

厚生労働省は、患者が5万人未満で、アンメットニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して、希少疾病用医薬品指定を行っている。

膵がんは、一般的ながんの中で生存率が最も低く、主ながんの中で唯一、5年生存率がほとんどの国で10%未満に留まっている。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga氏は次のように述べている。

「日本は世界で5番目に膵がんの発症率が高い国であり、その治療は過去数十年あまり進歩が見られていません。今回の指定は、日本で初めてバイオマーカーにより選定された進行膵がん患者さんに対して分子標的薬の使用が可能になった重要な一歩といえます」。

海外第III相臨床試験(POLO試験*)において、リムパーザは生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん患者の病勢進行または死亡に至るまでの期間をほぼ2倍に延長した。

具体的には、プラセボ群の無増悪生存期間PFS)の中央値が3.8ヵ月であったのに対し、リムパーザ投与群では7.4ヵ月であった。

なお、POLO試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験とほぼ一致していた。

リムパーザは、2019年に生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん患者の一次化学療法後の維持療法として米国で承認取得をしており、欧州およびその他の地域においても承認審査中である。

*POLO試験について
POLO試験は、リムパーザ単剤投与群(300mgを1日2回投与)とプラセボ投与群を比較した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験。

本試験では、プラチナ製剤ベースの一次化学療法で病勢進行が認められなかったBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの患者154人を3:2の割合で無作為化し、病勢進行が認められるまでリムパーザまたはプラセボを投与した。

主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目全生存期間OS)、二次進行または死亡までの期間、客観的奏効率、および健康関連のQOLである。

※BRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんに対するリムパーザの療法は国内未承認

参照元:
アストラゼネカ株式会社プレスルーム

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