・野菜を摂取させる行動介入は病勢進行に関係するかどうかを検証
・無増悪生存期間はMEAL群、コントロール群において統計学有意な差は確認されなかった
2020年1月14日、医学誌『JAMA』にて早期前立腺がん患者における野菜を摂取させるための行動介入は病勢進行に関係するかどうかを検証した第3相試験(NCT01238172)の結果がUC San Diego Moores Comprehensive Cancer Center and VA San Diego Healthcare SystemのJ. Kellogg Parsons氏らにより公表された。
本試験は、早期前立腺がん患者に対して1日7回以上の野菜摂取を電話介入により行動促進をするMEAL群(N=237人)、または経過観察を実施するコントロール群(N=241人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS:PSA値10ng/mL以上の上昇、または3年以内のPSA値の2倍増加として定義)を比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、前立腺がん患者が積極的に野菜を摂取することは前立腺がんの臨床ガイドラインにて推奨されている。しかしながら、その推奨根拠は専門家の意見、疫学調査、小規模臨床試験であり、大規模ランダム化試験にて臨床的意義のある結果が示されたわけではない。以上の背景より、早期前立腺がん患者に対する野菜を積極的に摂取させる行動介入は、PSA値をはじめ疾患の病勢進行を抑制させる効果があるかどうかを検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はMEAL群63.7歳に対してコントロール群63.5歳。TNM分類におけるT因子のステージングはMEAL群でcT1aが1.8%、cT1bが0.4%、cT1cが87.6%、cT2aが10.2%に対してコントロール群でcT1aが0.5%、cT1bが0.9%、cT1cが86.2%、cT2aが12.4%。血清PSA値はMEAL群で0-2.5ng/mlが11.2%、2.5-5ng/mlが44.2%に対してMEAL群で0-2.5ng/mlが13.8%、2.5-5ng/mlが45.2%。
本試験の無増悪生存期間(PFS)イベントがMEAL群124/226件、コントロール群121/217件発生時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はMEAL群、コントロール群において統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.96,95%信頼区間:0.75-1.24)。また、24ヶ月無増悪生存率(PFS)はMEAL群43.5%(95%信頼区間:36.5%-50.6%)に対してコントロール群41.4%(95%信頼区間:34.3%-48.7%)、両群間の差は2.1%(95%信頼区間:−8.1%-12.2%)を示した。
以上の第3相試験の結果よりJ. Kellogg Parsons氏らは以下のように結論を述べている。”早期前立腺がん患者に対する野菜を摂取させるための行動介入は、PSA値の上昇を抑制する効果はないことが本試験より確認されました。”
Effect of a Behavioral Intervention to Increase Vegetable Consumption on Cancer Progression Among Men With Early-Stage Prostate Cancer The MEAL Randomized Clinical Trial(JAMA. 2020;323(2):140-148. doi:10.1001/jama.2019.20207)