2020年1月23日、ファイザー株式会社は、抗悪性腫瘍剤パルボシクリブ(商品名:イブランス)の新剤形「イブランス錠25mg」、「同125mg」の製造販売承認を取得したことを発表した。
転移乳がん治療薬イブランスは、世界初のCDK(サイクリン依存性キナーゼ)4/6阻害剤として、米国において2015年2月にカプセル剤が承認された。
日本国内においては2017年9月に、同剤の製造販売承認を取得し、同年12月に発売されている。
このたび承認を取得した錠剤は、患者の利便性を高めるために食事の有無にかかわらず投与可能な新たな製剤として開発された。
イブランスカプセル125mgとイブランス錠125mgの生物学的同等性が示され、イブランス錠は食事の有無に関係なく投与可能であることが確認されたことから、2019年1月に新剤形医薬品として製造販売承認申請を行った。
イブランス錠は、食後投与の制限がなくなり、食事の有無を問わず服用できることになる(服薬スケジュールには変更なし)。
また、外形サイズがカプセル剤と比較して縮小される。さらに、包装単位を変更し、より錠数の少ない包装を準備している。
イブランスの概要 イブランスについてイブランスは、CDK4/6を阻害する経口分子標的薬1。
CDK4/6は、細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こす。イブランスはCDK4/6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させることにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている2,3。
米国では、初回内分泌療法としてのアロマターゼ阻害剤との併用療法において、閉経後女性または男性を対象として、「ホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の進行・転移乳がん」、また、フルベストラントとの併用療法において、閉経前または閉経後女性を対象として、「内分泌療法で疾患進行を認めたHR陽性HER2陰性の進行・転移乳がん」の適応で承認されている。
イブランスは、HR陽性HER2陰性転移乳がんに対してFDA(米国食品医薬品局)に承認された併用療法において、米国でもっとも処方されている経口薬4であり、世界90カ国以上で承認され、23万人を超える患者に処方されている(2019年9月時点)4。
出典 1.IBRANCE® (palbociclib) Prescribing Information. New York. NY: Pfizer Inc: 2019. 2.Weinberg, RA. pRb and Control of the Cell Cycle Clock. In: Weinberg RA, ed. The Biology of Cancer. 2nd ed. New York, NY: Garland Science; 2014:275-329. 3.Sotillo E, Grana X. Escape from Cellular Quiescence. In: Enders GH, ed. Cell Cycle Deregulation in Cancer. New York, NY: Humana Press; 2010:3-22. 4.https://investors.pfizer.com/investor-news/press-release-details/2019/Pfizer-Presents-New-Evidence-of-IBRANCE-palbociclib-Effectiveness-in-HR-HER2--Metastatic-Breast-Cancer-Patients-in-Four-Real-World-Studies-at-ESMO-Congress-2019/default.aspx 参照元:ファイザー株式会社プレスリリース