2020年1月15日、MSD株式会社は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の初回治療において、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ、以下キイトルーダ)と化学療法との併用療法が第3相KEYNOTE-604試験における2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)を延長したことを発表した。
この試験で、キイトルーダと化学療法(エトポシド+シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法では、前回の中間解析で、化学療法単独と比較してPFSが統計学的に有意に改善した(HR=0.75 [95% CI, 0.61-0.91])。
また、試験の最終解析では、キイトルーダと化学療法の併用療法では化学療法単独と比較して全生存期間(OS)も延長したが、事前に設定された解析計画としては統計学的に有意な改善が示されなかった(HR=0.80 [95% CI, 0.64-0.98])。
なお、同試験におけるキイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫していた。
結果は今後の医学学会で発表するとともに、規制当局と協議を進められる。
この結果について、MSD社研究開発本部のシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は、「KEYNOTE-604試験の結果はキイトルーダと化学療法の併用により、非常に悪性度の高い腫瘍である進展型小細胞肺がんと新たに診断された患者さんの治療効果の改善が期待できるものです。この試験に参加してくださった患者さんや治験責任医師の皆さまに心から感謝しており、当社は治療が困難な肺がんの患者さんのために今後も取り組んでまいります」と述べている。
キイトルーダは現在、肺がんで5つの適応を取得している。また、20件の同社主導臨床試験において、10,000名以上(登録予定者を含む)を対象に、今後もさまざまな治療セッティングや病期の肺がんに対するキイトルーダの評価を進める予定。
KEYNOTE-604試験についてKEYNOTE-604試験は、新たにES-SCLCと診断された患者を対象としてキイトルーダと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験を指す(ClinicalTrials.gov, NCT03066778)。
同試験における2つの主要評価項目はOSおよびPFSであった。
副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、QOL(Quality Of Life、生活の質)などであった。
この試験では登録患者453名を次のいずれかに無作為に割り付けた。
・キイトルーダ(200mg固定用量を各21日サイクルの初日に投与)およびエトポシド(100mg/m2を初日、2日目、3日目に投与)および治験責任医師が選択するプラチナ製剤(カルボプラチンAUC 5を初日に投与またはシスプラチン75mg/m2を初日に投与)
・プラセボおよびエトポシド(100mg/m2を初日、2日目、3日目に投与)および治験責任医師が選択するプラチナ製剤(カルボプラチンAUC 5mg/mL/分を初日に投与またはシスプラチン75mg/m2を初日に投与)
参照元:MSD株式会社ニュースリリース