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キイトルーダ、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんおよび再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに対する適応追加を取得

[公開日] 2019.12.23[最終更新日] 2019.12.23

2019年12月20日、MSD株式会社(以下 「MSD」)は、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:キイトルーダ)について、以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。

  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対するアキシチニブとの併用療法
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに対する単独療法
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに対する化学療法との併用療法

 

腎細胞がんに対する適応拡大について

腎細胞がんは腎がんのうち最も多くみられる種類のがんで、腎がんの約9割を占めている*1。国内の腎がん患者数は年々増加しており、2015年時点の罹患患者数は約25,000人で、年間9,000人以上が亡くなっていると推定されている*2

腎細胞がんへの適応拡大は、化学療法歴のない、根治切除不能または転移性の淡明細胞型腎細胞がん患者861名を対象とした国際共同第3相試験KEYNOTE-426試験の1回目の中間解析データに基づいている。

同試験において、進行性または転移性腎細胞がんの初回治療におけるキイトルーダとアキシチニブとの併用療法の有効性および安全性が示された。

有効性については、スニチニブと比較して、主要評価項目である全生存期間(HR=0.53 [95% CI, 0.38-0.74]、p=0.00005)および無増悪生存期間(HR=0.69 [95% CI, 0.56-0.84]、p=0.00012)をそれぞれ有意に延長したことが示された。

さらに、有効性の評価項目の1つである奏効率(ORR)は、キイトルーダとアキシチニブとの併用療法で59%(95% CI, 54-64)、スニチニブで36%(95% CI, 31-40)(p<0.0001)であった。

安全性については、キイトルーダとアキシチニブとの併用療法群で高頻度(20%以上)に認められた有害事象は、下痢(49%)、高血圧(42%)、甲状腺機能低下症(32%)、疲労(30%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(28%)、ALT増加(24%)、発声障害(23%)、AST増加(23%)、食欲減退(22%)および悪心(21%)であった。

*1NCCN clinical practice guidelines in oncology: kidney cancer, version 2.2019.; National Comprehensive Cancer Network (NCCN); 2019. *2国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん罹患モニタリング集計 2015 年罹患数・率報告(2019年3月)

頭頸部がんに対する適応拡大について

頭頸部がんは鼻副鼻腔・口腔・咽頭・喉頭・唾液腺など頭頸部領域に発生するさまざまながんの総称。頭頸部の扁平細胞は薄い表層を形成している細胞で、頭頸部がんのほとんどはこの扁平細胞から発生する扁平上皮がんである。

国内の2015年時点における頭頸部がん(甲状腺を除く口腔・咽頭・喉頭から発生)の罹患患者数は約25,000人で、年間8,000人以上が亡くなっていると推定されている*3

頭頸部がんへの適応拡大は、化学療法歴のない、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん患者882名を対象とした国際共同第3相試験KEYNOTE-048試験における2回目の中間解析の結果に基づいている。

同試験においては、再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの初回治療としてのキイトルーダ単独療法およびキイトルーダ併用療法を、現在の標準治療であるEXTREMEレジメン(セツキシマブ+カルボプラチンまたはシスプラチン+5-FU)と比較した。

有効性については、EXTREMEレジメンと比較して、キイトルーダ単独療法では試験集団全体に対する全生存期間の非劣性が認められ(HR=0.85 [95% CI, 0.71-1.03]; p=0.00014[非劣性p値])、さらに腫瘍組織のPD-L1発現陽性(CPS*4≧1)患者に対しては、統計的に有意な全生存期間の改善が示された(HR=0.78 [95% CI, 0.64-0.96]; p=0.0086)。

また、キイトルーダ併用療法においては、試験集団全体における統計的に有意な全生存期間の改善が示された(HR=0.77 [95% CI, 0.63-0.93]; p=0.0034)。

安全性については、キイトルーダ単独療法群で高頻度(10%以上)に認められた有害事象は、疲労(14%)および甲状腺機能低下症(13%)であった。

また、キイトルーダとプラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)および5-FUによる化学療法との併用療法群で高頻度(20%以上)に認められた有害事象は、貧血(49%)、悪心(45%)、好中球減少症(33%)、疲労(30%)、粘膜の炎症(28%)、血小板減少症(28%)、嘔吐(27%)、口内炎(24%)および食欲減退(22%)であった。

今回の適応拡大により、キイトルーダは、再発または遠隔転移を有する頭頸部がんに対して単独療法および化学療法との併用療法の両方で承認された、初めての免疫チェックポイント阻害薬となる。

*3国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん罹患モニタリング集計 2015 年罹患数・率報告(2019年3月) *4 CPS(Combined Positive Score) 総腫瘍細胞に対するPD-L1発現細胞(腫瘍細胞、リンパ球およびマクロファージ)の割合

なお、PD-L1の発現状況を検査するための体外診断薬として、アジレント・テクノロジー株式会社のPD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」が承認されている。

参照元:
MSD株式会社ニュースリリース

ニュース 腎臓がん 免疫チェックポイント阻害薬

中島 香織

広告業界、放送局業界、コンサート・舞台企画業界を経て1年間渡米留学。帰国後は、外資系企業に就業。イベントマネージャーとしてPR,マーケティング業務に携わる。がん情報サイト「オンコロ」では、主にイベント運営、Webサイトの更新、コラム投稿に従事。宣伝会議コピーライター養成講座修了、乳がん体験者コーディネーター(BEC)11期生。

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